立春に雪が降る
今日は立春。暦の上ではもう春だ。そんなことは誰も信じていない。1年のうちでも2月が一番寒いことはみんな知っている。しかし、春がそこまで来ていると思いたいのも事実だ。
朝の来ない夜はない。春の来ない冬もない。待てば海路の日和ありだ。昨日はとても暖かだった。今日は一転して気温が10度も下がった。このパターンが一番困る。
銀座から東京メトロ銀座線に乗る。溜池山王駅で電車が動かなくなった。車内の電灯が2つ、3つを残して消えた。アナウンスがあった。「隣の赤坂見附駅で乗客が傘を線路に落としました。そのため電車を一時停電させた上で、駅員が傘を収容しました。ご迷惑をお掛けしました」
話は美しい。傘1本を収容するため、電車を止め、しかも停電させる。どれくらいの電車を止めたのか知らないが、1本の傘のために電車を止め、何万人もの乗客をしばし待たせる。これが現代日本の現実だ。平和でのどかな姿だが、どこか浮き世離れしている。アナウンスを聞いて、考え込んでしまった。