没後15年記念「東山魁夷と日本の四季」

「年暮る」(複製画)

「年暮る」(複製画)

 

日本画家・東山魁夷(ひがしやま・かいい、1908-1999)の没後15年記念特別展をのぞいた。題して「東山魁夷と日本の四季」。山種美術館(東京・渋谷区広尾)。

氏の作品はいろんな機会に少しずつ見ているが、画家の目の確かさには驚がくするばかりで、何も言えない。人それぞれ、自分の好きな絵があるが、気に入ったこの作品の複製画を買った。「年暮る(としくる)」(1968年、山種美術館所蔵)。

魁夷のスタートは風景画家。日本各地を歩き、日本の自然と風景を描き続けた。作家・川端康成の勧めで制作に着手したのが「京洛四季」(けいらくしき)の連作。

「京都は、今描いていただかないと、なくなります。京都があるうちに、描いておいて下さい」。川端から懇請されて魁夷が京都の四季の連作を集中的に描いたのは1968年(昭和43)。特別展では「春静」「夏に入る」「緑潤う」(1976年)「秋寂び」「秋彩」(1986年)「雪の後」「北山初雪」「年暮る」が展示されている。

 

広尾に移転していた山種美術館

広尾に移転していた山種美術館

 

昔、日本橋兜町周辺で仕事をしていたとき、山種グループの関連会社はみんなあの辺りに集まり、1966年に日本初の日本画専門美術館として開館した山種美術館もそこにあった。中に入ったのは1回か2回くらいしかなかったが、それでも山種=兜町だった。

それが今回、出掛けようとして、場所が広尾に変わっていたので驚いた。2009年10月に、新築移転したという。移転に関してはいろいろゴタゴタがあったらしいが、モダンな新築美術館はそんなもめ事も鉄筋コンクリートの中に塗り込めているようだ。

東山魁夷のブランド力は流石。3連休とあってか、多くの鑑賞者が押しかけていた。シニア世代が圧倒的に多いのは高齢化時代の反映だ。シニアが文化を消費し、それが景気浮揚に役立つのならまだ歓迎だ。老人が老後のために年金を貯めるようになったらおしまいだ。

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