草加の「富士」「せんべい」「松並木」
知人の習っている絵の先生が個展を開いているというので、「ギャラリー昴」(埼玉県草加市)をのぞいた。富士山を描いた作品が15点ほど展示されていた。入谷清英(いりたに・きよひで)氏は1940年、京都府生まれ。
画廊のオーナー氏によると、「入谷先生は『水の入谷』で名前が通っている。マスキング(水彩画の1つの技法)でも私の知る限り、もう30年ほどやっている」という。何でも一芸に秀でた人はそれなりのものを持っているものだ。
絵の世界のことは何も知らないが、この頃、身近な人に水彩画を描くことを趣味にしている人が多いように感じる。絵を描くと言えば、昔は確か「油絵」が多かった。それがどうも、最近は「水彩画」が主流だ。油絵は見るからに、体力が必要だ。それに比べ、水彩画は見た目はサラっと描けそう。「絵筆をとるのが歳とってからだから」との説を聞いた。
芸術鑑賞は意外と力仕事だ。鑑識眼のない者でも結構疲れる。昼飯どきでもあった。駅前にあるツインビルの1つの上がレストラン街になっていた。オープン式のエレベーターから外を見ると、こんな風景が飛び込んできた。
12日は統一地方選挙前半戦の投開票日。東京が含まれていないので盛り上がりに欠くように思えるが、地元にとってはそんなことはない。10知事選(北海道、大分県など)、41道府県議選、5政令指定都市長選、17政令市議選が戦われており、草加市では埼玉県議選の選挙運動最終日だった。
草加と言えば思い浮かぶのはせんべい、せんべいと言えば草加である。「ゆかた染め」と「皮革製品」も有名らしい。堅焼きの元祖だ。伝説上の創始者「おせんばあさん」が売れ残りの団子をつぶして焼き餅にして売ったのが始まりだとか。
市内には60軒ほどのメーカーがあるらしい。明治4年(1871)創業だという大馬屋(おんまや)アコス店で定番を買った。草加は良質のうるち米が採れるほか、醤油産地の野田市(千葉県)にも近い。
東京23区の北東部に位置する足立区を北に日光街道が延びている。千住宿に次ぐ2番目の宿場町が「草加宿」だ。その北側に位置し、「おくのほそ道」にも登場する風景地は江戸時代、「千本松原」と呼ばれた杉並木だった。
一時60数本にまで減少したが、遊歩道化することにより松の保護に取り組んだ結果、現在では634本まで回復し、「草加松原遊歩道」として国指定の名勝となっている。松並木は綾瀬川沿い1.5kmほど続いている。