病棟から眺めていたものは何だったか

 

この光景を眺めるのが日課だった

病室からこの光景を眺めるのが日課だった

 

最初に入院・手術してから既に半年が経過する。2回目の手術からでも4カ月だ。退院後も月1回程度の通院治療が続いている。「潰瘍性大腸炎」という病気そのものからはおさらばできたが、完全に元に戻ったわけではない。

何せ大腸を全摘した。あるべきものが無くなったということはやはり大変なことだ。かつてのようにバナナのような便を望むべくもないし、基本的には軟便だ。薬で水分を吸収しているものの、大腸の担っていた機能は期待できない。若干の排便障害に悩まされている。最も警戒しなければならないのは下痢だ。

この日も主治医の外来を受診したが、前の予定が終わってから取りあえず大久保に直行したので、予約の時間より2時間も早く到着した。入院していた際に気になっていた点を解消することとした。それが7東病棟の病室から毎日眺めていたこの光景が何だったかだ。前面に居住用マンションがどんと建っており、その右隣にも何棟か建っていた。正体不明のままでは気持ちが悪い。

 

戸山ホウムズ

「西戸山タワーホウムズ」

 

 

 

「Tower Homes」ここは一体どこの国だろうか?

「Tower Homes」ここは一体どこの国だろうか?

 

まず右隣の高層ビルは最近はやりの大型分譲タワーマンションだった。「西戸山ホウムズ」(新宿区百人町3)という名前が付いている。開発主体は新宿西戸山開発。緑の多いかなり広い敷地にノース、サウス、セントラルの3棟が建っている。いずれも25階建て地下2階。1988年築だから、タワーマンションとしては草分けだ。

 

最上階の一つ下が7東病棟だった

最上階の一つ下が7東病棟だった

 

前に建っている建物は「西戸山住宅」の表示しかなかった。洗濯物が干され、生活臭むんむんだったので、都営住宅かなと思っていたが、正式には「西戸山公務員住宅」だった。公務員と言っても国家公務員。西戸山タワーホウムズとともに国有地で、再開発され、こちらは公務員住宅になった。

不審者のようだったが、敷地内をぐるっと一周した。病院の裏側と向き合った格好だ。ネットに投稿された住民の口コミ情報によると、「病院の裏手だったので、風向きで病院の色んな悪臭がすることがあった」と書き込まれていた。

そう言えば、窓際で裸になって看護師さんの世話になる場合、看護師さんたちは窓のカーテンを閉めていた。少し距離はあるが、双眼鏡でのぞこうと思えば、どちらからでものぞける関係だった。都会では避けられない状況だ。

立場を変えて相手を見るというのは不思議な感覚だ。いずれにしても疑問が解消した。

 

近くに「グローブ座」の建物もあった

近くに「グローブ座」の建物もあった

 

西戸山タワーホウムズの並びに「東京グローブ座」(新宿区百人町3)があった。名前はよく聞いていたが、建物を見るのは初めて。1988年4月に、シェークスピア作品の普及を劇場運営の基本方針に据えてオープンした劇場だ。

一時休館していたが、2002年10月再スタート。その後リニューアルした。外環はシェークスピアが活躍したロンドンのグローブ座に模しているという。屋根の上に小さな尖塔が見え隠れしていた。

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