第2回ナノセルロース展

 

 

環境省Nanocellulose Vehicle(NCV)モデル事業

 

CNFパイプ

 

環境とエネルギーの未来展「エコプロ2017」が7日、東京ビッグサイトで開幕した。期間は9日(土)まで。注目企画は第2回ナノセルロース展。ナノセルロースの事業化をリードする国内外の企業が一堂に介する日本最大の専門展だ。

「ナノセルロースナノファイバー(CNF)は鋼の5分の1の軽さで5倍の強度を持ち、学術分野でも用途開発でも日本が世界の最先端を走っている夢の素材。日本には豊富な森林資源を有するとともに、川上を担う製紙産業から用途開発を担うさまざまな産業まで高い技術の集積がある。CNFという新たな産業を育て、国際競争を勝ち抜くための大きな強みだ。

政府は未来都市戦略2017においてCNFの利用促進に向けて研究開発や国際標準化を進めていくべきと位置づけ、支援を行っている。CNFを世界に先駆けて自動車や家電等に利用するためにも樹脂複合化や国際標準化、安全性評価のための研究開発に年間6億円を投じるとともに、国際標準化機構で標準化を推進している。

CNFの新たな市場が生まれ、アベノミクスの第3の矢、すなわち成長戦略を支えるわが国初のイノベーション投資につながることを期待している」と経産省の大串正樹(おおぐし・まさき)政務官は語った。

また林野庁の牧元幸司次長は「日本の森林資源については戦後植林された木が60年、70年とたってまさに利用できるタイミングを迎えている。切って、使って、植えて、育てて、大きく育つことによってCO2を吸収して地峡温暖化防止に役立つサイクルをうまく回していく。これが重要だと考えている」と述べた。

さらに、「そのためには木材需要が大事。建材としての利用はもちろんではあるが、新需要の開発も極めて重要。その中でCNFが新用途として期待されている。軽量、高強度、低環境負荷。林野庁ではより小規模な施設でより環境負荷が少なく、特殊の器具を使わず汎用機械でできる技術開発を森林総合研究所等を中心に進めている。小規模な施設であれば、中山間地域でも立地できるのではないか。地域を元気づける大きな力になるのではないか。一層力を入れていきたいと考えている」と語った。

文科省研究開発局の田中正朗(たなか・まさあき)局長は「バイオマスから化成品等を製造することはカーボンニュートラルや省エネの観点からCO2排出削減に大きく貢献すると期待されているが、なかでもCNFは超軽量、高強度という特徴を有し、車体等などさまざまな製品への応用など低炭素社会の実現に大きく期待される革新的な材料だ」と指摘した。

環境省地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室長の水谷好洋(みずたに・よしひろ)氏は、「地球温暖化計画に基づき2030年度26%削減に向けた対策を着実に実施すると共に、地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、長期目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指している」と述べた。

CNFについては脱炭素社会の実現に向けたテクノロジーの1つだと考えている。昨年度より、自動車分野の低炭素化を目指す事業として産官学総勢21機関の参加するコンソーシアムによる世界初のナノセルロース・ビークル(NCV)プロジェクトを始動している。

同プロジェクトでは自動車の部品をCNFを活用して軽くて強い素材に置き換えることで10%以上の軽量化にチャレンジしている。材料製造から車体製造、走行に至る総合的な二酸化炭素の削減効果を検証してCNFの有効性を実証していきたいと述べた。

そのほか家電、住宅、建材に活用する試みもスタートしている。CNFの社会実装を見据えてリサイクル技術の強化・実装についても行う予定だ。

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