「揚鶏と水炊き 森川」
友人と銀座で少し飲んだ。連れていかれたのは揚鶏と水炊きの店「森川」(中央区銀座2)。歌舞伎座から少し歩いて露地を右手に折れた店だ。
いろんな店がある中、少々高目の店だった。それに私は「にわとり」(鶏)が苦手だ。苦手というのはほとんど食べたことがない。しかし、誘ってくれた彼がバンコクに転勤になるという。おめでたい。自分の好みは封印した。
15品目の野菜サラダを食べ、レバーをつまんだ。それと豆乳風自家製チーズ。なるべく、鶏を避けたが、嫌いだとは言えなかった。昔、親戚の実家が養鶏業を営んでいて、よく連れられて遊びに行った。お客さんが来ると、その家はいつも鶏肉のすき焼きだった。
その時は結構食べたと思うが、そんな想い出が残っていて、鶏と聞くと、今も庭で絞めた姿を思い出す。食べられないことはないと思うが、なるべくなら食べたくないというのが本当だ。
店主の森川英二氏によると、「オープンして3年半」だという。銀座経済新聞が開店3カ月半当時の森川氏を取材している。「福岡県出身の42歳。サラリーマンとして働いた後、26歳で料理の道に進むために上京。渋谷の鶏料理中心の居酒屋でメーンの調理師として7年間働き、メニュー構築なども任されていたが今回、満を持して独立を果たした」という。
店舗面積は約7坪、席数は14席。カウンター席7席、テーブル3席。小さな店だ。狭いカウンターには普段は2人の女性が働いているが、この日は彼が1人で満席の客と格闘していた。
昭和通り東側の銀座1丁目から4丁目エリアは独立系を中心にワインバルやイタリアン、フレンチから和食までジャンルを問わずに個性的な店が集まっている。話題のエリアだ。客筋は悪いはずがない。