「イノベーションを生み出すリーダーシップ」

 

基調講演する森本博行長野県立大学教授

 

第23回高度技術・技能展「おおた工業フェア」が1月31日(木)と2月1日(金)、大田区産業プラザPIOで開かれた。今年のテーマはものづくりのニュースタンダート「熟練×革新」。

大田区はもの作りのメッカで、とりわけ中小企業が集中している。31日の基調講演「ものづくり企業の戦略発想とリーダーシップ」を聴いた。イノベーションを生む出すリーダーシップとは何かについて森本博行長野県立大学グローバルマネジメント学部教授(首都大学東京名誉教授)が語った。

元ソニー幹部の森本氏はエレクトロニクス部門(VAIO、平面ブラウン管テレビ、プレイステーション)の成功で5257億円の連結営業利益を上げた1997年からリーマン・ショックを受けた2008年に2278億円の赤字に転落。その後10年間で再び7349億円の黒字を計上するなど結構浮き沈みの激しい経営を行ったことを紹介した。

森本氏はイノベーションこそが競争優位の根源に当たると指摘。研究開発、技術開発、応用開発(新製品)などの価値の創造が高収益の根幹だったが、1997年以降、ソニーは何もイノベーションを生んでいないと述べた。

またイノベーションは①新しい製品とサービスの創造②新しい生産方式の導入③新しい市場・販路の開拓④原料の新しい供給源の獲得⑤新しい産業組織、独占的地位の形成―であるとシュンペーターの理論を紹介。駅馬車は何台つないでも機関車にはならない。経済社会の発展は起業家(アントレプレナー)によるイノベーションにあると強調した。

新しいイノベーションが生まれると、それに応じて需要創造、生産技術の革新、投資戦略、マーケティング戦略など価値の獲得が必要であるという。

 

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