米カリフォルニア州で「市中感染者」確認で警戒呼び掛けるCDC

 

ニューデリーで会見したトランプ米大統領(2月25日)

 

ニューデリー訪問中のトランプ米大統領は25日、新型ウイルス対策について「米国内では非常によく封じ込まれている」と発言したが、同日のニューヨーク株式市場ではダウ工業株30種平均が連日で大幅安となり、24日と25日の2日間の下げ幅は1911ドルと過去最大だった。

この米株価の大幅下げのきっかけとなったのが25日の米疾病対策センター(CDC)幹部の発言だった。CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のナンシー・メッソニエ所長が記者団との電話会見で「米国内で市中感染が起きると予想している。起きるか起きないかという問題ではなく、いつ起きるかの問題だ。必ず起きる」と述べたとの発言内容に大きく反応したようだ。

米ブルームバーグ通信は「市場はトランプ大統領を無視、CDCの専門家を支持した」と報じた。大統領選挙での勝利のために好調な米経済を持続させたいトランプ大統領の狙いとは裏腹だった。

 

市中感染の事例を報告するCDCのアン・シュチャット首席副所長(2月26日)

米メディア「WIRED」によると、市中感染とは新型コロナウイルスの感染が広まっている地域への渡航歴はなく、患者との接触も確認されていない感染者のことで、米国では初めての「市中感染者」の事例1例を報告した。

WIREDは、患者はカリフォルニア州の病院に入院している。患者は2月19日から同大学デイヴィス校の医療センターに入院しており、23日に新型肺炎と診断されたと書いている。

日経によると、カリフォルニア州のニューサム知事は27日、同日午前までに州内で33人から新型コロナウイルスの陽性反応があったと発表した。また、アジアからの渡航者を中心に、感染の恐れがある8400人強の経過を観察していることも明らかにした。

ただ、会見に同席した公衆衛生部門の担当者は、市中感染者1名を除く32人はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」や中国湖北省武漢市から戻った人かその家族で、感染経路は分かっていると説明した。

担当者は状況は流動的としながらも、「一般の人々への感染リスクは依然低いことを強調したい」と述べた。

28日の東京株式市場は新型肺炎の影響を懸念する売り一色で一時1000円を超す上げを演じ、結局前日比805円安の2万1142円で終わった。アジア市場もこれに追随する可能性が強く、欧米と連鎖が続く。これを食い止めるところが見当たらないのが不気味だ。

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