「線状降水帯」が大雨を降らせ球磨川が氾濫し、新型コロナの新規感染者数も3日連続100人超え=どうにもならない現実か

 

14人が心肺停止に陥った特別養護老人ホーム「千寿園」(NHK)

 

猛烈な雨を降らせる「線状降水帯」(NHK)

 

■線状降水帯が居座る

 

熊本県と鹿児島県で4日未明、猛烈な雨が降り、熊本県の球磨川が氾濫し、中流の人吉市や下流の八千代市が大水に飲み込まれた。積乱雲が次々に発生し、帯状に連なることで同じ個所に何時間も居座り、大量の雨をもたらす「線状降水帯」のしわざだ。

球磨川が氾濫し、多数の住宅や施設が浸水したほか、土砂崩れも発生し、熊本県内では4日午後10時現在、特別養護老人ホーム「千寿園」の入居者14人を含む18人が心肺停止、1人が重体、7人が行方不明となり、警察や消防、自衛隊が救助を進めている。

「経験したことのない量の雨で、外はほとんど前が見えなかった」とテレビカメラの前で話す地元民の声は震えていた。一級河川の球磨川(熊本県)は最上川(山形県)、富士川(長野県、山梨県、静岡県)と並ぶ日本3大急流の1つ。昭和40年7月(1965年)、同46年、同47年、同57年、平成11年、同16年、同17年、同18年、同20年、同23年とひんぱんに洪水を起こしている「暴れ川」でもある。

毎日新聞の取材によると、球磨川は、「熊本県南部の山間部を大きく蛇行しながら流れ、八代海に至る。標高が高い山間部に源流があるため流れが速く、多くの支流が流れ込み流量も多いことから3大急流の1つと呼ばれ、水害が繰り返される一方で船下りやラフティングの名所として親しまれてきた」という。

国は1966年、球磨川水系川辺川の川辺川ダム計画を発表したが、流域で反対運動が起こり、2008年蒲島郁夫知事が計画反対を表明。09年には民主党政権の前原誠司・国土交通相が計画中止を表明。国交省と熊本県、流域市町村は09年1月以降、ダムに代わる治水策の協議を継続中だ。

九州大の島谷幸宏教授(河川工学)は毎日新聞の取材に対し、「球磨川は下流域が山に囲まれて狭く、水位が上がって氾濫しやすい構造がある。特に今回は線状降水帯が川の南側に重なったため流量が急激に増え、多くの地点で越水したのではないか」と治水の難しさを指摘していると述べている。

 

1日ごとの新規感染者数の推移(NHK)

 

■東京都、3日連続で新規感染者数100人超

 

熊本県に大雨が降ったからと言って、新型コロナウイルスが逃げたわけではない。東京都の新規感染者数は連日100人を超える数を確認している。4日は131人、3日124人、2日は107人と3日連続の100人超え。100人を超えるのは緊急事態宣言が解除された5月25日以降初めて。

新規感染者数が都内で3日続きで100人を越えたのは夜の街。新宿エリアや池袋エリアを指しており、接待を伴う飲食店など「夜の繁華街」の従業員らが多い。ホストクラブやナイトクラブの従業員や客が感染している。

とりわけホストクラブなどでは区の要請に応じて「PCR検査」を積極的に受けており、必然的に陽性と判明する感染者も増えている。むしろ増えるのが当然だ。

特に若い人の比率が高く、重症化率は低いといわれる。若い人は感染していても無症状な人が多いのが特徴で、街中に出ることでそうした人に接触するのは危険だと指摘されている。

私も新宿のジムに通っているが、それも考え直す必要に迫られている。若い人の街である新宿を徘徊することはリスクが高すぎると批判されているのだ。独り者ならともかく、妻帯者ならば危険を巻き込む恐れがあるという指摘だ。

自分が感染するのならばともかく、家庭を持っていれば、自分が外に出てウイルスをもらってくれば、それを同居人にうつす可能性も否定できない。小池百合子都知事も「感染拡大への警戒を要する段階」と指摘した。1日に100人も新規感染者が出ている現在、外出を控えるべきだという主張である。

「いつの世もリスクはどこにでもある。少々のリスクはむしろあってしかるべきだ」というひねくれ者の主張は通用しないのだ。少なくても今の状態では大きな声では主張できない。リスクをさほど重視しない人間とそれを重視する人間がいれば、リスクを軽視する人間は勝てない。

悲しいが、負けるしかない。そうでなくてもタコのひもが切れたように動き回るのが好きな性格である。3カ月前まではそれがむしろ好ましいと思われた。「亭主元気で留守がいい」が普通だった。

それがどうやら亭主も責任ある行動を求められる時代になってしまった。集会や会合などでも事前登録やマスク着用などが求められる。不自由極まりない。こんな時代は嫌だといくら叫んでも、そんな時代がやってきてしまった。どうにもならない。

都知事選候補者の中には「新型コロナウイルスは風邪みたいなものだ。行動自粛も3密も不要」だと主張する人もいるが、これには大きな条件が欠かせない。これは「ワクチン」が開発されていればの話である。

新型コロナウイルスは本当に厄介な病気だ。過去の歴史で人類が犯した罪の大きさのお返しかもしれない。

 

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