菅首相、延命狙いながら命運尽き退陣を表明=最後に背中を押したのは小泉氏か

 

菅首相、退陣へ(日経夕刊)

 

■菅首相が突如、退陣を表明

 

「政局は一寸先は闇」とは言い習わした表現だが、菅義偉首相の3日の突然の退陣表明にはびっくりした。何が何だか分からないが、永田町では激震が起こり、噂が乱れ飛び、総選挙を前にした議員たちが政権の帰趨を求めて情報収集に走り回っている。

私はこのニュースを知らなかった。1カ月に1回行っている練馬の床屋に行こうと家を出たのは午前11時55分。いつもは乗らないバスに乗って練馬に行き、床屋で散髪した。丁寧にやってくれ、終わったら午後2時を少し過ぎていた。

理容師とはいろんな話をしたが、彼が帰りしなに「菅さんが昼前に退陣表明しましたね」と口にした。それまでその話は全く知らなかった。現役でもないし、自民党総裁選の日程が決まって世間が騒々しくなっているな、くらいにしか受け止めていなかった。

 

退陣表明する菅義偉首相(NHKニュースウオッチ9)

 

■党役員人事も見送り

 

菅首相は3日の党臨時役員会で「新型コロナ対策に専念したい。総裁選には出馬しない」と退陣を表明した。首相は週明けに、二階俊博幹事長の退陣を含む党執行部の刷新人事や内閣改造を検討していたが、取りやめた。

また首相官邸で記者団に「首相になってから1年間、新型コロナ対策を中心とする、さまざまな国が抱える問題に全力で取り組んできた。コロナ対策と選挙活動を考えたときに、やはり両立はできない」と説明。「国民の命と暮らしを守る首相として(コロナ対策を)やり遂げたい」と語った。心の整理をして来週、改めて記者会見を開く考えだ。

首相が退陣を決意したのは人事が行き詰まり、政権運営の継続が難しくなったためとみられる。要は権力闘争である。欲と欲のぶつかり合いである。したたかな人物が最後は笑うようである。誰が笑うのだろうか。

 

あえて首相に退陣を迫った小泉進次郎環境相(NHKニュースウオッチ9)

 

■”側近”が菅氏の背中を押す

 

菅首相が退陣表明に追い込まれたのは「局面打開を懸けて探った衆院解散、人事刷新という延命策がいずれも成就せず、万策尽きたためだ」(時事通信3日21時32分配信「潮流底流」)という。

「首相が最終的に決断したのは3日朝」のようだ。「最後は首相に近い小泉進次郎環境相から退陣を勧められ、踏み切った」と潮流底流は解説している。

小泉氏は2日まで4日連続で首相と会っている。総選挙は配色濃厚で、小泉氏は「出るべきではない。引けば功績が評価されるが、現職の首相が負けたら格好がつかない」と進言した。

小泉氏は退陣表明後も官邸で首相と約20分面会した。5日連続だ。菅氏は小泉氏をずっと面倒を見てきた彼の「側近」でもある。小泉氏は記者団に「最後まで首相を支えたい」と話した。目には涙が溜まっていた。

 

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.