【ドライブ】「氷柱とロウバイ」を見物し「花和楽の湯」で締める埼玉・秩父1日の旅
■尾ノ内氷柱
テレビで見た氷柱(ひょうちゅう)を実際にこの目で見たくて、結局埼玉県秩父に車を走らせた。尾ノ内氷柱(おのうちひょうちゅう)は同県秩父郡小鹿野町(おがのまち)河原沢にある谷間(尾ノ内渓谷)に約500mのパイプを引いて人工的に作った氷柱だ。
「ひょうちゅう」は「つらら」でもある。疑問雑学によると、どちらの読み方も正しいようだ。ちなみに尾ノ内氷柱の規模は周囲約250m、高さ60mにも及び、今や小鹿野を代表する冬の観光スポットになっている。
1月中旬から2月下旬に灯される氷柱ライトアップも人気である。行った日は2月18日(金)。本来なら20日が最終日らしいが、今年は寒さが厳しく1週間繰り延べられ、27日(日)までらしい。到着したのは午前10時30分頃だったが、温度計は0.5度を指していた。寒いはずだ。ライトアップも見たいものだが、点灯は毎週土日の17時~20時。
昼間でも立派に幻想的だったが、ライトアップされた氷柱ならばその効果もさぞかし増すだろう。あるいは氷点下の世界でライトアップされても余りの寒さに震え上がっているかもしれない。
それにしても絶景を堪能するためには完全防寒対策が必須である。吊り橋と小川の滝壺などの光景がよくマッチしていた。ただ吊り橋は数人が歩くだけでかなり揺れる。数十人も乗れば、落ちるのではないかと心配になる。
■通常は「つらら」
CanCan.jpによると、氷柱は基本的に「つらら」(ツララ)と呼ぶようだ。「水のしずくが凍って、軒下や岩などに棒状に垂れ下がったもの」のことだ。要は寒い国の人なら誰でも見たことがある「つらら」が正解だ。
ただ、「つらら」ではなくて、「ひょうちゅう」と読むこともあるとCanCan.jpは書いている。そう読む場合、「山の斜面やがけを流れる水がつらら状に凍ったもの。冬にしか見ることのできない氷の芸術として、観光スポットにもなっている」場合がそうだ。
観光化したものが「ひょうちゅう」で、自然に軒先から垂れる氷は「つらら」と言ったほうが適切かもしれない。人工的に作り出した芸術品ならば、問題なく「ひょうちゅう」と読むべきなのかもしれない。
秩父には「尾ノ内氷柱」以外に「あしがくぼ氷柱」「三十槌(みそつち)の氷柱」もあって秩父3大氷柱と呼んでいるそうだ。この3つのほか、尾ノ内氷柱に向かう手前に赤平川沿いに規模の小さな「久月氷柱」(ひさつきひょうちゅう)もある。
尾ノ内氷柱からの帰路、久月氷柱にも寄ったが、こちらは天然だと信じて疑わなかった。パイプもなく水を引いた形跡が見当たらないからだ。しかしこちらも人工的なものであるらしい。こちらは観光客もいなかった。とにかく静かに楽しめるのが嬉しい。
■神戸時代に見たツララ
ツララと聞いて神戸総局に勤務していたときのことを思いだした。総局は神戸市にあるが、休みの日などに大阪府と兵庫県の府県境を歩くプロジェクトを1人で立ち上げた。目的地まで行って、いったん帰る。次の機会にまた前回の地点まで行って、そこから歩き始める。
最初は神戸市などの都会地で交通網も充実しており、楽だった。しかし、回を重ねるに従って前回の目的地にたどり着くまでが大変になる。神戸市→西宮市→宝塚市あたりまでは楽だった。
ところが同シリーズの7回目となると、大変だった。ヘタしたら着くまでにとんでもない時間を要するからだ。篠山市に入って「篭坊温泉」(かごぼうおんせん)まで2.5kmの目印を頼りに歩いていたら、何と山を越えるハメに陥った。雪も少し残っており、峠を超えると雪道だった。
峠の上に「篠山市」(現在の丹波篠山市)の看板が立っていた。峠の先は雪道が伸びていた。ひなびた篭坊温泉をキョロキョロしながら通過し、目に付いたのが「ドライブイン後川(しつかわ)」(丹波篠山市後川)。
この辺りで急に風が強まり、ついに吹雪になってしまった。。ドライブインに飛び込み様子をうかがった。凍えそうな寒さの中で食べたきつねうどんのおいしかったこと。これは忘れられない。
店内で雪の模様をうかがっていたが、雪は降り止みそうになく、夕刻も迫ってきたので篠山市街まで歩く計画は断念。女主人の助言に従ってバスで小柿経由でJR福知山線三田(さんだ)駅に出た。
その途中で見たツララがこれ。神姫バスの車掌がバスを止め、何と乗客にツララを見せてくれたのだ。何とステキなグッドサービスだろうか。そのとき撮った写真がこれだ。思い出は生きている。
■宝登山山頂でロウバイ観賞
久月で氷柱を見たのち同じ埼玉県内の宝登山(ほどさん)に向かった。宝登山は標高497.1m。ここにはロープウェイで5分の山頂にロウバイ園が広がっているのだ。都内でもロウバイを見るが、せいぜい数本程度。ここは山全体を切り開いてロウバイ一色だ。
山頂一体の広大な園地に約3000本のロウバイが植栽されている。満開は2月半ば頃で、見頃は過ぎてはいたが、氷柱見物と合わせてスケジュールを立てたので、こんな時期になってしまった。しかしまだ遅咲きの臘梅が見事だった。
ロウバイ(臘梅)は中国中部原産の高さ3~4mになる落葉低木。名前に「梅」が入るものの、植物学的に梅の仲間ではないという。宝登山やロウバイについては2020年2月1日のブログで書いている。
■梅百花園もあるよ!
ロウバイは梅ではないものの、季節はむしろ梅。ロウバイと梅を一緒に見たい人がいてもおかしくない。しかし行く日の選択が難しい。あまり速くいくとロウバイにはいいが、梅はまだということにもなりかねない。バランスが難しい。
ロウバイ園のほかに、梅百花園も設けられ、約470本の梅が植栽されている。ほとんどの木はまだ咲いていなかったが、咲いているものもあった。春を告げる木とはいうものの、紅梅・白梅としか知らない。
梅にもいろんな銘種があるのだろうが、残念ながら知ろうともしない。桜のほうがまだ知っている。次から次への新種が生まれてくる。ツバキなども今やほとんど知らない。ボタンにしてもそうだ。
梅はまだ春を告げる木として珍重されているゆえそれなりの評価もあるものの、次から次へと西洋風の舌を噛みそうな難しい名前を付けた花が現れるのだ。のんびり咲いているのも大変だ。
■PH10の高濃度温泉が自慢
1日日帰りドライブの締めくくりはおがわ温泉「花和楽(かわら)の湯」(埼玉県比企郡小川町角山)。2019年9月25日に初めて訪れた温泉で、昨年「官ノ倉山」登山の折も立ち寄ろうとして立ち寄れなかったところだ。目と鼻の先に来ていて立ち寄らないわけにはいかない。
やはり露天風呂の自慢なのは以上で肌にやさいいアルカリ性単純温泉「白金の湯」。高濃度炭酸泉だ。今や炭酸泉はどこにもあるが、PH10というのは国内でも珍しい高濃度。38度ながら炭酸泉なので温まる。
「一湯一会」風呂も面白い。源泉マニア垂涎の源泉掛け流しの浴槽だ。PH10.1という「石けん」並みの強アルカリ性を示すお湯は無色透明の単純温泉だが、加水も循環も消毒もない掛け流し。ぜいたくな湯浴みである。
しかも「一湯一会風呂」では全量総入れ替え方式を採用。浴槽のお湯を毎日、総入れ替えする方法も取っている。新たな源泉を入れ、新鮮度100%の源泉を楽しめるというものだが、その効能を実際に楽しむためには相当深い温泉マニアになる必要がありそうだ。
それにしてもただお湯につかって適当に帰るだけではあまりにももったいない。敷地面積2000坪を超える広大な純和風の温泉旅館だが、敷地内にもレストランやカフェ&バー、うたたねどころなども整備されている。
宿泊できる「カワラホテル」が敷地内にオープンし、風呂と連携しているのも面白い。うまく使うためには使い方が重要だが、そのためにも長時間滞在が必要のようである。