【試写会】「博打は許さない」と人生最後の闘いに打って出た91歳の”ハマのドン”こと藤木幸夫氏=決戦の場となった横浜市長選で勝利するまでのドキュメンタリー作品

「ハマのドン」のパンフレット

 

テーマ:試写会『ハマのドン』
監督:松原文枝(テレビ朝日ディレクター)
主役:藤木幸夫:横浜港港運協会会長、株式会社横浜スタジアム取締役会長などを歴任。通称”ハマのドン”(当時91歳)。藤木企業代表取締役会長

 

■反旗を翻した藤木氏

 

地元政財界に顔が効き、歴代総理経験者や自民党幹部との人脈を持ち、田岡一雄・山口組三代目組長ともつながりのある、隠然たる政治力を持つとされる保守の重鎮、藤木幸夫氏。

菅義偉官房長官(当時)や横浜市が山下埠頭へのカジノ誘致を進める中、菅氏を支援してきた身でありながら途中で反旗を翻した。

藤木氏が反旗を翻したのはかつて港湾にはびこった博打が労働者や家族を崩壊させるのを見てきたからだという。

決戦の場となったのは横浜市長選。藤木が賭けたのは、住民投票条例の署名を法定数の3倍をも集めた市民の力だった。裏の権力者とされる藤木が、市民とカジノ反対の一点で手を結び、時の総理と官房長官が推し進めた「カジノ誘致」の国策阻止を成し遂げた。

保守の重鎮の藤木氏が先頭に立って無名の候補者を立て、集会参加者の笑いを勝ち取りながら聴衆の人心をつかんでいく。主権は官邸ではなく、民衆にあることを実現してみせた。

 

■一時は米ラスベガス・サンズも日本進出狙う

 

世界のカジノ王と呼ばれるラスベガス・サンズ社(米ネバダ州ラスベガス)のCEO・シェルドン・アデルソン氏は日本進出を狙っていた。1兆円という巨額の投資額が口にされており、ターゲットは横浜港の山下埠頭だった。

横浜港は藤木氏が長年仕切っていた現場だが、奇しくもアデルソン氏の狙っていた現場でもあった。アデルソンはトランプ・安倍の首脳会談の前に開かれた朝食会にも出席している。態度を曖昧にしていた林文子横浜市長はカジノ誘致に向かって動き始めた。

これに敢然と立ち向かったのが藤木氏。藤木は横浜大空襲をも生き延び、父親の時代からの港湾を引き継いできた。その中で博打だけはダメだと立ち上がった。

藤木ははっきり言って浪花節である。最初はカジノ賛成だった。しかしいつの間にか反対に変わっていた。彼の目や笑顔がずいぶん魅力的である。浪花節的だからこそ人の心を動かすのだ。

いまどきあんな人がいるとは驚きだし、それに一番驚いているのがこのドキュメンタリーを撮っている松原文枝監督だったに違いない。勝つか負けるか分からない横浜市長選挙。しかも最後は小此木(おこのぎ)八郎氏が国家公安委員長の座を投げ打って出馬したのものの敗退した。

日本進出にあれだけ熱心だったラスベガス・サンズもいつの間にか撤退を表明し、雲行きは急に怪しくなった。

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