【初秋】「国立新美術館」「ギャラリーくぼた」をはしごし最後は「月島もんじゃストリート」で「もち明太子チーズもんじゃ」を食べた芸術の秋

「casie(かしえ)」HPから

■立秋の歌

どうやら秋が来たようである。吹く風の音もそれを告げていてびっくりするものだ。真夏はセミがガンガン鳴いていたが、秋になるとセミではなく、秋の虫に変わるのだ。

今年の立秋は8月8日(火)だった。それもはっきりとはしていないらしい。一応その日がそうらしいと決めてあるのだとか。

立秋は中国の農業の目安が日本に伝わった「二十四節気」の1つで、四季の移ろいを暦のうえで明確に区切ったものだ。中国と日本では季節もかなり違うし、最近は温暖化が激しく、そんなに厳密でもない。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども

風の音にぞおどろかれぬる(藤原敏行/古今和歌集)

これを現代的に訳すと、「秋(立秋)が来たということは、目に見える景色からはっきりとは分からないが、風の音にはっとせずにはいられなかった」というふうになる。何も凝っておらず極めてシンプルな表現だ。

 

■80歳で二科展に初入選

 

秋と言えば、芸術の秋である。たまたま案内があって1日のうちに2つの展示会を掛け持ちした。

最初に行ったのが第107回二科展(公益社団法人二科会主催)。水彩画をやっている家内の友だちが初入選したので、祝福を込めてのぞいてみた。会場は国立新美術館(六本木)。

二科展は日本の三大美術団体(日展、院展、二科会)の1つだといわれている。たくさんある美術団体はほとんどがこの3つの団体から派生したものだという。

今回入選した出展者は80歳で立派な高齢者だ。自宅のアトリエで大きなサイズの油絵を描いているという。他にもゴルフと渓流釣りが好きらしい。趣味三昧というわけだ。これだけ趣味があれば文句なしだ。

年に何回かは車に乗って地方の奧里に分け入って数日泊まり歩き、渓流釣りを楽しんでいるらしい。ブレーキとアクセルを踏み間違えるから車の運転は危ない!などという世間のアドバイスは受け付けないようだ。

とにかく自分の好きな道を堂々と歩いている人らしく、自分で人生も楽しんでいる。怖いものが何もない。一度会ったことがあるが、同じ体質の匂いを嗅いだので接近するのは避けている。

ぽつんと一軒家みたいな家やイワナやヤマメのいる渓流の風景を独特のタッチで描いている。一種独特の色使いで独自の世界観の中に閉じこもっているようだ。

そんな世界を自分で独力で確立した。独自の世界観があって奥さんは何も言わないらしい。言っても無駄だと思っているのかもしれない。

 

 

■「作品を出し続ける忍耐のない人が多い」

 

二科展は1914年に始まった美術展。文部省美術展覧会(文展)から分かれて在野の展覧会としてスタートした。

絵画、彫刻、デザイン、写真の各ジャンルから成る。絵画部門に限定すれば今年の総搬入点数は1755点、入選者数は681名(うち初入選は106名)。数値が公開されている。1人で複数点出品が可能だから入選確率はどうやらそんなに高くはない。2人に1人の割合で入選しているようだ。

Yahoo!知恵袋で「二科展に出品するのはどのくらい難しいのですか」に対するベストアンサーが公開されている。公募展の難しいところは「賞を獲ることと、継続して入選を続けることができるかどうか」のようである。

「毎年毎年公募展に出し続けるのって、精神的にキツくなりますし、実際のところ忍耐が続かないという人が多い」という。

実際に出品している人にとっては新聞に名前が載ったりするのはどうでもいいことかもしれないが、こうした著名な公募展に入選するのは「出品者の家族や親戚にとって分かりやすい説明になる」のだとか。

どんな世界でも理想と現実とではかい離があるようで、二科展などの公募展も同じようなものだ。いずれにしても彼の作品も含め、別の面白い作品をたくさん見る機会を与えてくれた高齢者氏(私もそうだが)にMany thanks!だ。

 

黒川紀章設計になる広々とした館内だが、この日は雨宿り客が多く込み合っていた

 

■彫刻もありました

 

個人的に好きなのは彫刻作品だ。楽しい作品が結構出展されている。

 

樹皮デビッド(樹皮・石膏/初入選)byHanxun Li

You and Me by 与島雪

時よとまれ!by 柴崎益代

Twins by 太田皓士

望楼by丸山恵美

The way is my way(テラコッタ) by 山﨑千夏

 

■1階カフェでサンドイッチを

 

やはり芸術鑑賞は非常に疲れるものだ。おまけにお腹も空いた。3階には美術館の開館した当初から有名立ったフレンチレストラン「ポール・ボキューズミュゼ」があったが、並んでいる人もいてパス。1階のカフェ「コキーユ」でサンドイッチを食べた。

 

3階からパチリと写したコキーユの風景

 

こちらはほかにケーキやドリンク類も楽しめる気軽なカフェ。天気の良い日は屋外テラス席も開放されるようだが、この日は午後2時すぎから雨が降り出した。

雨が止むのを待つ観客もあって館内は結構な人出に溢れていた。今や美術館は人気のデートスポットのほか、何人かで知人の絵を鑑賞に来る人が多いという。

こうした美術展の開催は意外と場所の設定が重要だ。一番好評なのが銀座周辺だ。とにかくレストランやカフェもたくさんあって集まりやすいのだ。友人の絵を鑑賞するのはいわば「出汁」(ダシ)で、それを口実に仲間が集まるのだ。

集まったらピーチクパーチク、おしゃべりが始まる。それが息抜きになっている。出展者は出汁を提供する人にすぎない。本人もそれをよしとしているのだから、どうやら長生きする女社会は平和そのものである。

 

日府展秋季洋画部展案内葉書

 

■雨の中、日府展に

 

こちらは私よりも2歳ほど年上の女性で、郷里が兵庫県で一緒だ。私が小学生の頃、家族で東京に移住した。彼女は東京の大学を出て、油絵歴50年程になるという超ベテラン。

結構深層心理の奥深く突き刺すテーマを掘り下げて描く人で、性格もどちらかというと一風変わった感じ。それゆえ、いつも刺激をもらっている。

日府展はいつもは5月に東京都美術館で開催されるのでそちらに行くのがメイン。過去20年程ほど大体毎年観賞している。最近秋も小品の展示が始まった秋季洋画部展は東京駅近い京橋のギャラリーくぼたで開催されている。

いずれにしても昨年の日府合同展の彼女のテーマは『秘密』だった。こっそりと「秘密」を丸ごとコンクリートの中に固めて鍵を掛けた。誰にも自分の秘密は知られたくないというわけだ。すごいテーマである。

 

何処へ行くの?(2019年日府展、日府賞)

 

■何処へ行くの?

 

2019年の『何処へ行くの?』も良かった。日府賞受賞作品だ。モデルは100歳になった母上。

「影を引きながら杖をついて何処へ行くかのようだ。向こうには既にあの世に旅立った人たちが集まっている。

こちらにはまだ現世に足を留めている人たちが残っている。お前は何処へ行こうとしているのかと呼び止めている。」

その母上も101歳で亡くなったという。母上にもずいぶんお世話になった。これと言った追い返しもできずにお別れしてしまった。思い出したのは「さよならだけが人生だ」という言葉。合掌。

 

月島もんじゃストリートのだるま本店

 

■目指したのは「だるま本店」

 

外は雨が降っている。美術館をサンドイッチだけで済ませたのは夕食は月島で「もんじゃ焼き」を食べたかったからだ。お腹を空かせて粉もんをお腹に放り込みたい。

普段はシルバーパスの関係上地下鉄なら都営線しか乗らないが、この日は京橋に行った関係上、東京メトロにも乗った。有楽町線にも月島駅があった。都営線にも月島駅が存在する。ごっちゃになって困った。

いずれにしても地下鉄7番出口を外に出ると、三角屋根のアーケードが目印の西仲通り商店街が勝ちどき橋に向けて広がっている。壱番街から弐番街、参番街、四番街と続いている。

その両脇に意外と狭いもんじゃ焼きさんがつながっている。月島もんじゃ振興会協同組合加盟店だけで、その数なんと52軒。選ぶだけでも途方に暮れてしまう。

我々が選んだのは昨年、ワールドとエース共催セールに浜松町・竹芝エリアに出掛けた際、お台場から水上バスに乗って結局浅草まで遠出。東京スカイツリーは昇らなかったものの、商業施設「ソラマチ」で食べた月島名物もんじゃだるまが気になっていた。

ソラマチ店の本店が月島にあるというので、実はだるま本店を目指していたのだ。駅前から1,2,3番街と結構歩いて四番街にお目当ての「だるま本店」はあった。ソラマチ店に比べると、5分の1くらいの小ささにびっくりした。支店と別店がある。

 

これが焼く前の「もち明太子チーズもんじゃ」

焼き上がりをヘラですくって少しずつ食べる

豚天(お好み焼き)

「あんこ巻き」を追加したら・・・

最後に形を整えていく

出来上がり

 

■「あんこ巻き」を追加オーダー

 

もち明太子チーズもんじゃ、豚天、ソフトドリンクの「昼だるま」セットメニューが午後5時まで2820円(税込3102円)なのでこれを注文した。

最後にあんこを具にした「あんこ巻き」をいただいた。黒蜜を振りかけて食べると何とも言えない甘さが口中に広がってくる。幸せに包まれてくる。人間、食べているときが一番幸せだ。これに勝るものはない。

午後から降り出した雨も本格的で、降り続いた。こんな幸せはいつまで続くのだろうか。

 

もんじゃストリートの夜も更けて・・・

「もんじゃ自販機」までありました

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