デンマークの「有機の認可・検査は無料!」

 

プレゼンするデンマークのPedersen氏

プレゼンする作吉むつ美氏

 

一般社団法人、日本オーガニック検査員協会(JOIA、静岡市富士市)の「世界の有機先進国はこう動いている」と題したセミナーで第1回オーガニックライフスタイルEXPOが開催された。

JOIAの作吉むつ美理事長が開催のあいさつに立った。「有機は徐々に拡大傾向にあるものの、思うように広がらない」。有機市場は800億ドル。9割が北米とEUだ。ただ、有機はよく分からない。少し勉強したい。

デンマークとアメリカの代表が参加して両国が優れていることを知った。日本は最近ブームで、多くの若いお客が押し寄せた。若い客はどうもムードに弱い。とにかく会場は満員だった。

有機については世界的な話で、EUは「規範の王国」。早く規範を作って自分のところが一番だと思うのだろうと考えた。日本は規範については奥手なので、どうも遅きに失した感じがある。

本当に日本は有機に遅れているのか。日本は農薬を使わない農業をやってきたはずだ。それがいつの間にか農薬を使い始めた。使い出すと一杯使う。今度はやめることができない。どうすれば良いのか。

 

デンマークのPedersen 氏

デンマークのPedersen 氏

 

デンマーク農業・食糧理事会のチーフアドバイザー、アイヴィン・ペダーセン氏(Ejvind Pedersen)がプレゼンした。その中で一番印象深かったのはオーガニック認証おいて政府の認可や検査が無料である点だ。

1987年にデンマークは世界で初めてオーガニックの政策を取り入れ、89年にはオーガニックラベルを用いた政府による認証制度を確立した。このラベルは「規範の王国」と呼ばれるEUのオーガニックラベルと同じだ。

・1987年に確立された政府のみによる有機認証制度は消費者の安心を担保している
・すべての生産者は農水省または獣医および食品安全局からの認可を受ける必要がある
・全てのオーガニック生産者は少なくとも年に1回検査を受ける
・また、適宜抜き打ち検査がある
・全ての生産者がウェブサイトに記載されている
www.fvst.dk     www.naturerhverv.dk
・食品メーカーの検査結果もウェブサイトに記載されており、情報開示がなされている
・政府の認可や検査の費用が無料であり、農家や企業の負担が少ないこと

2015年の有機農畜産業と農畜産物のうち、以下がオーガニックである。

・全体の9%の牛乳がオーガニックである(47万5000トン)
・全体の0.5%の豚がオーガニックである(12万5000トン)
・全体の0.5%の鶏がオーガニックである(70万羽)
・全体の21%の卵がオーガニックである(1万4000トン)
・全体の20%の野菜がオーガニックである

 

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米国の3つの課題

 

オーガニック貿易協会(OTA)の国際貿易担当ディレクター、モニク・マレズ氏は、1990年代以来、消費者のオーガニック需要はほぼ毎年2ケタの伸びを示してきたことを明らかにした。オーガニックの売上高は1997年の36億ドルから2015年には433億ドルへと伸張した。

オーガニック商品に対する今後の見通しも強力で、平均家庭では約75%で知られている。広範で多様な世代が成長をドライブしており、とりわけ都市住民が中心だ。

供給面では引き続き課題があったものの、2015年はオーガニック産業にとって重要な伸びがみられた、実際、過去最高だった14年の39億ドルから、15年は42億ドルの売上高アップだ。10.8%伸びた。

食品売上高に占めるオーガニックに占める比率は全売上高の約5%だが、オーガニック農業に従事している面積は全米の1%以下だ。

オーガニックは経済成長を促進し、貧困を減らし、地方の経済開発を刺激する大きなツールになりつつある。そして米国にとって大きな経済的機会を与えている。

オーガニックは米国の農場や食品、将来にとって輝かしいスポットだ。

日本の有機JAS(日本農林規格)認定マークは2001年4月の改定JAS法で認められた。有機JASと認定されたのは検査認証を受けた農産物だけだ。

・種まきまたは植付する2年以上前から、ほ場(畑)の土に禁止された農薬か化学肥料を使用していないこと
・栽培中も禁止された農薬や化学肥料を使用しないこと
・使用する肥料や農薬は天然物質または化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ
・ほ場や施設、用具などに農薬や化学肥料の飛散・混入がないこと
・遺伝子組み換えの種を使わないこと
・病害虫を防除するのに農薬を使用しないこと

これらの厳しい条件が課せられている。問題は認定を受けるのが無料でない点だ。デンマークのように無料なら、もっと大勢の人が受けられる。高コストで割に合わないため受けられない。これがネックだ。現在、有機JASの認定を受けている農産物は全体の0.2%といわれる。

 

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