大証株式先物・オプションフェア2005

 大阪証券取引所(OSE)主催の「株式先物・オプションフェア2005」が1月10日、東京国際フォーラムで開かれた。講演会と先物取引仲介業者の出展をセットしたフェアで、色んな意味で注目を集めている日本振興銀行の木村剛社長が講師を務めたこともあったためか、会場にはたくさんの投機家が詰め掛けていた。

 木村氏の演題は「おカネの発想法~本物のおカネ持ちになろう!」。話は軽妙洒脱で力強く、かつ論理明晰。日本が抱えている借金(国・地方の長期債務残高合計)は約700兆円と、国内総生産(GDP)の140-160%にも上り、国は全く当てにできない状態。「霞ヶ関にも良い人はいるかもしれないが、米びつは空。無い袖は振れないから、国に頼ってはだめ」と霞ヶ関を切って捨てた上、自分の資産は自分で守るしかないと強調。しかし、最後に氏が披露した投資原則は、「世の中にうまい話はない」。やはり、そう簡単にはおカネ持ちになれなさそう。

 「個人投資家が勝ち抜くためには!」と題して講演したのは日本システムトレーディングの柳谷雅之社長。自らの選んだ相場手法である「短期システム売買」について自説を展開。相場のある種の挙動に法則性を発見し、それを利用する売買をルール化するとの考え方に基づき、数秒から1週間以内の時間枠で短期売買を繰り返す。時間枠が短いほど値動きの予測がしやすいためで、氏の得意とする時間枠は丸1日。つまり、1日1回市場に入って、1回仕切るというものだ。

 しんがりはシンプレクス・インスティテュートの伊藤祐輔社長。タイトルは「プロのトレーダーが語るデリバティブ」。本物のプロには”ストレス”という名の友人がおり、また”リスク”という名の愛人がいるという。トレーダーは大概人が悪く、何でも賭けの対象にしたがる性癖があり、また、勉強家で負けず嫌いという特徴を有するとか。こうしたプロが好んで使うのが先物で、「買い」でも「売り」でも可能な点が魅力だという。現物株は銘柄が多くて、情報を集める手間も大変だが、日経平均株価(日経225)先物は”1銘柄”で、フォローする楽さ加減は話にならないというのが氏の見解だ。

 大証が日経225先物市場を開設したのは1988年9月。株式関連デリバティブのセントラルマーケットとして、市場改革への取り組みは東京証券取引所を凌駕する。大阪はかつて、世界の先物取引の始まりであるといわれる「堂島米会所」を生んだ土地。大証としては、現物株取引の東証一極化が進む中で、ここまで育てた日経225先物は何としても死守しなければならない市場だ。先物への個人投資家の関心が高まっているのを目の当たりに見て、意を強くした1日だった。

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