分子イメージング研究シンポ2007

 「分子イメージング研究シンポジウム2007」-創薬プロセスの革新-が18日、神戸国際会議場(神戸市中央区港島中町69-1)で始まった。会期は19日までの2日間。主催は独立行政法人理化学研究所と同放射線医学総合研究所。

 「分子イメージング」と聞いても、チンプンカンプン。全くイメージすらつかめないのが正直なところだった。しかし、神戸市は医療産業都市を目指して、関連企業のクラスター集積を推進している最中。勇を鼓して、シンポをのぞいた。

 玉尾皓平理研フロンティア研究システム長の開会の辞、藤木完治文部科学省大臣官房審議官、独立行政法人科学技術振興機構キーテクノロジー研究開発領域運営統括、矢田立郎神戸市長らの挨拶、野依良治理研理事長の主催者挨拶、財団法人先端医療振興財団の井村裕夫理事長の基調講演、放射線医学総研分子イメージング研究センターの菅野巌センター長、理研分子イメージング研究プログラムディレクターの渡辺恭良氏の話を聞いているうちに何となく、少しだけ分かってきた。

 「分子イメージング」は微量の放射線を発する放射性同位体をくっつけた薬を体内に投与し、その動きをPET(陽電子放射断層撮影装置)で捕らえ、分布や量を画像に映し出す技術。その技術を利用することで、疾患診断や治療評価技術の開発、さらには創薬プロセスの短縮化を目指すものだ。

 文科省が2005年度から開始した国家プロジェクトで、東の拠点が放医研(PET疾患診断研究)、西の拠点が理研(創薬プロセス改革)。神戸が西の拠点として認められたわけだ。

 野依理研理事長によれば、国民の医療費は年間30兆円。あと何年かすれば倍に膨れ上がるという。その2割を占めるのが医薬品。しかし、1つの医薬品を開発するためには10-15年の日時を要する上、500-1000億円の巨額投資が必要。それにもかかわらず、開発された薬の有効性は極めて低いのが実情だ。

 しかも、制癌剤などでは副作用が大きいのが実態で、せっかく開発した医薬品が副作用で、むしろ大きな被害をもたらすという理不尽な結果を招いている。これも開発技術が科学的に不十分なためで、これを突破する鍵を握るのが「分子イメージング」技術だという。

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