『オンリィ・イエスタディ』
志水辰夫著『オンリィ・イエスタディ』(1987年)。「女に飽きた男。男に絶望した女。冷たい雨の夜に物語は始まった。たぶん、出会うべきではなかった。名手が万感の想いを込めた恋愛長編」らしい。
志水辰夫の小説は『飢えて狼』(1981年)、『背いて故郷』(1985年)、『行きずりの街』(1991年)などを読んできた。1936年生まれの作家で、今の時代からはかなり隔絶した作品を書く人だ。文体に色気があるから読んでいるものの、どういうわけか本当に面白いと思ったことはない。それなのに、つい手が出てしまう。不思議な作家である。