西部邁著『エコノミストの犯罪』

 図書館から借りて読んだ本だが、もう返してしまったので手元にない。10年ほど前に保守派の論客として鳴らした後、ピタッと姿を消していた西部氏だが、最近、また顔を見せている。本人が時代に愛想をつかして雲隠れしたのが真相のようだが、金融危機で時代のパラダイムがシフト。どうやら時代のほうが彼に擦り寄っているようである。

 時代や大勢には擦り寄らないほうが良いに決まっている。時代は気紛れである。こちらから擦り寄っていかないとむくれるが、こちらがあえて孤高を守っていると、時代に変化が到来した場合、それを察知して向こうから擦り寄ってくるものだ。

 実はこの孤高を守るということが大変である。時代の主流に相手にされず、わが道を行くというのはとても辛いものだ。孤立を保てずに、こちらから擦り寄りたくなるものである。人情として分かる。そこが勝負である。そこで人の評価も決まるように思うのだが、どうだろう。

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