『あんにょん由美香』

 林由美香(はやし・ゆみか)は2005年6月、35歳の誕生日の前日に急逝するまでの約15年間に200本を越えるピンク映画とAV(アダルトビデオ)に出演した女優。その彼女が韓国のエロ映画「東京の人妻 純子」(00年)に出演していたことを糸口に、彼女とも付き合いのあったドキュメンタリスト、松江哲明がこのAV女優の幻影を追ったドキュメンタリー作品だ。

 7歳年下の松江監督がこのドキュメンタリーを作ったのには林由美香との間できちんとした仕事をしていなかったことへの後悔と自身が在日3世であることとがあるようだ。作品には林由美香を撮った中野貴雄やカンパニー松尾、いまおかしんじなどの監督も出てくる。

 韓国にわたって「東京の人妻 純子」を撮った監督や主演男優にも会ってインタビュー。この監督がペ・ヨンジュンのデビュー作を監督した人物であったという事実が出てきたり、エロ映画に出演したばかりに韓国では映画人としてやっていけなくなってしまうという社会的制裁を受ける羽目になった韓国人男優の告白なども明らかになって、味わい深い作品に仕上がっている。

 ポレポレ東中野。20時30分からのレートショーで、22時30分終映後、坂本監督とAVライターの雨宮まゆ氏のトーク。場内はほぼ満席で、サブカルチャーブームの一端を垣間見た。
  

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