「写楽 幻の肉筆画」展

 東洲斎写楽は謎の浮世絵師だ。役者絵と美人画で有名だ。江戸時代の寛政年間、正確には寛政6年(1794)5月、突然、花のお江戸に現れ、10カ月間に140点の作品を残し、その後忽然と姿を消した。生没年不詳、本名も分かっていない。どこへ消えてしまったのか。

 この写楽が扇面に描いた肉筆画がギリシャ・コルフ島の国立コルフ・アジア美術館に眠っていた。同美術館はギリシャの外交官、ゴレゴリオス・マノスがウィーンやパリで収集した日本やアジアの美術品コレクション(マノスコレクション)の寄贈を受け、展示している。

 日本関係のコレクションは浮世絵1600点、日本絵画200点。2008年の調査で、その中に写楽の肉筆画が見つかった。他にも葛飾北斎や鈴木春信、鈴木春重(司馬江漢)、喜多川歌麿、歌川豊国、菊川英山などの保存状態の良い作品が発見された。

 日本絵画では狩野派の優品が揃っている。江戸城本丸御殿にあった狩野探幽筆「野馬図屏風」の、弟子(狩野克信・狩野興信)による模写は歴史的にも高く評価されるという。他に、狩野山楽の牧場図屏風、狩野種信の竹虎屏風風など。

 日本・ギリシャ修好110周年記念特別展「写楽 幻の肉筆画」ギリシャに眠る日本美術~マノスコレクションよりは江戸東京博物館(東京都墨田区横綱1-4-1)で9月6日まで。

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