事業仕分け


                       (第2WG)

  行政刷新会議作業グループの「事業仕分け」を傍聴した。最終日の、しかも夕刻から2時間ほどだったが、現場の雰囲気がよく分かった。予算の要求官庁側と事業の必要性の観点から予算を切り込む仕分け人(政治家と有識者)間の筋書きのないバトルは迫力たっぷり。へたな芝居よりも、よっぽど面白い。

 仕分け人の人選や判定基準のあいまいさ、、中長期的視点の欠如、1時間という短時間での判定など問題点も多く指摘されているが、これまでブラックボックスだった予算編成プロセスを透明化したメリットのほうが圧倒的に大きいのではないか。

 「政治や行政はこれまで、事業目的の重要性の議論はしっかりやってきたが、その事業を達成するための効率化、予算の使われ方についてはほとんど議論してこなかったし、求められてもこなかった。それが現在の政治の危機、日本という国の危機として表れている。これがこれまでの政治、日本が抱えてきた問題。これを変えていくのは並大抵ではないが、ここが出発点」(作業グループ統括役の枝野幸男国会議員)

 これまでの自民党政権下での予算の使い方や事業の作り方は基本的には従来踏襲型。前年度との対比で積み増すか、削減するかの判断が中心で、全くの白紙から考えるという発想はないも同然だった。そのほうが予算・事業を作るほうも楽だし、安定していた。

 それが政権が変わって、「今までの枠組みを取っ払って、白紙で考えろ」と言われても、それはほとんど無理に近い。継続性を一番大切にする官僚にとっては不可能に等しい。仕分け人はそれを承知で、従来型発想に固執する官僚に転換を迫るのだから、勝負は最初からついている。

 「事業仕分けの準備期間は1ヵ月半。事務局や仕分け人がこれに費やした労力とエネルギー、それに使った神経は大変なものだったが、日本で初めて政治、税金の使われ方が日常会話の話題になった。日本を大きく変えていくと予感している」(仙谷由人行政刷新相)。


                        (閉会式)

 民主党の後見役的存在の稲盛京セラ名誉会長は9日間の会期中に会場を2度訪れて、「平成維新が始まっている」との感想をもらしたという。これはやはり、革命である。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

東京日誌Ⅱ

Previous article

公園の秋
東京日誌Ⅱ

Next article

東大安田講堂