一本木(続)

 気になっている1本木を今朝も見に行った。昨夜は暗くてよく見えなかったが、石垣の大半が壊され、敷地内に積み重ねられていた。完全な更地になるのは時間の問題のようだ。1本木はまだ辛うじて健在だった。しばし眺めていたら、大型ダンプが到着し、敷地内に乗り入れた。

 産業廃棄物処理車。降りてきた運転手に聞くと、「自宅のほかに、アパートが建つようですよ。残念だけれど、このケヤキも切るそうです。火曜日(8日)が大安なのでその日に業者が来て切ると言われていた。広いお屋敷で、そこにあった井戸を埋めるのに7トンダンプが7台分の土を入れた。石垣は大谷石でした」

 覚悟していたものの、実際に死刑を宣告されたようなものだ。あと3日の命だ。ちょうど草むしりをしていた隣家の方に聞くと、これだけの木を切るとなると、区役所の了承がいるのだとか。「私がここにお嫁に来た50年ほど前には今の半分くらいの高さだった。随分高くなったわね。区役所からは何とかお許しが出たと言っていた」

 何とも言えない気持ちだ。残したいのは山々なれど、背に腹は変えられないということか。

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