老人、老人、老人

 どこへ行っても老人ばかりだ。出勤で電車に乗っても、前も後ろも左も右も老人だらけ。若白髪の人もいるから、白髪即老人とは決めつけられないが、ホームで並んでいる人、駅ですれ違う人の中に老人が占める比率は過去10年くらいで圧倒的に高くなった。

 会社に行くと、大きな掃除機を操作してフロアの掃除を精力的にやっているのもかなりの年配の人たちだ。それでも4-5年ほど前まではまだ40代くらいの、せいぜい50代前半くらいの人もいたのに、ここ何年かは急に年齢層が上がったように思えてならない。

 1階から5階にあるスポーツクラブにいくためエレベーターに乗り込んだ。乗ったのは男ばかり3人だが、その3人とも白髪混じりの男だった。自分のことを棚に上げて、思わず「何てことだ」と心の中で叫んでしまった。ものすごい勢いで高齢化が進んでいる。

 問題は高齢者就業の現実だ。20年ほど前までは老人の毎日は「毎日が日曜日」状態で、特に何もすることがなくて、憐れむべき存在としてみられていた。それが今や「毎日が労働日」なのである。少しは休みたいのに、休ませてもらえない。

 「生涯現役」と言えば格好いいけど、65や70になっても果たして「生涯現役」の旗を自分の意思で掲げられているのか、自分でも自信がない。肉体の金属疲労ははなはだしく、いくら脳が労働を命じても、身体が言うことを利かないのだ。拒否反応を示すのだ。

 

 週刊東洋経済が組んだ特集「70歳まで働く!」(10月2日号)にはどきもを抜かれた。薄々感じていたが、ドキッとした。日本の高齢者就業の実態を指摘していた。総務省の「労働力調査」によると、既に60-64歳では男性の7割強、女性の4割強が就業しているという。日本の働く高齢者の比率は世界でもトップクラスだ。

 本当に働きたくて働いている人もいるにしても、生活するためには働かざるを得ない人たちが多いのが実態だ。

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