「大連立」構想再浮上


(BS朝日「激論!クロスファイア」に出演した仙谷由人官房長官)

   (テレビ東京「週刊ニュース新書」に生出演した森喜朗元首相)

 11日午前、いつものようにBS朝日「激論!クロスファイア」とテレビ東京「週刊ニュース新書」をはしごした。前者には仙谷由人官房長官、後者には森喜朗元首相が出演。共通した話題は「大連立」だった。森元首相の発言は「小沢氏関与なら反対」と夕刊に出ていたが、仙谷発言はないので調べたら10日の収録だった。

 民主、自民両党による「大連立」観測が再度、急浮上したのは8日。2007年秋に両党の仲介役を演じた森氏が菅直人首相に会った同じ日に、谷垣禎一自民党総裁が07年の大連立に関与した渡辺恒雄読売新聞グループ会長と会談したからだ。渡辺氏は7日に鳩山由紀夫前首相とも会っており、現実味を帯びた。

 渡辺氏が谷垣総裁に大連立を打診したのは本当らしいが、森氏が菅首相との会談でその話しをしたとの見方は本人が番組で否定した。「そんな(大連立の)話をするならこっそりやる」。そうだろう。しかし政界が「大連立」を模索せざるを得ない政治状況に追い込まれていることだけは確かなようだ。

 仙谷長官は大連立について、「論理的には間違っていないオプションだ。財政健全化の一点で、果たして政治的にどういう連携が取れるかということだ」と可能性に言及しながらも、「政治的には(各議員にとって)自らの政治的ポジションと選挙(が障害)だ。次の選挙で野合とか大政翼賛会だと言われる」と難しさを強調した。

 外交・国家安全保障、福祉・教育・人づくりという2大課題を抱えながら、それを実現するための財政的裏付けを決定的に欠くという最悪な事態に直面しているのが今の日本。それなのに”熟議なき国会”で繰り広げられているのは罵倒、ヤジ、こき降ろし。誰の目から見ても正常な姿ではない。泣いているのは国民だ。

 仙谷官房長官は日本の権力のへそ的存在。尖閣諸島問題の扱いや物言いを聞いていると、弁護士出身のせいか何でもかんでも法理論で整理する傾向が強く、また競争原理よりも平等重視の社会主義政策に傾斜し過ぎているのが気になってならない。これは仙谷氏だけというよりも、民主党政権そのものが中道左派路線を取っているからだ。

 しかし、菅政権にはこの人がいなければ、どうにもならないほど漂流するのは間違いないのではないか。民主党に政権を委ねたのは日本国民だ。一緒に心中するしかない。オバマ米民主党政権も先の中間選挙で歴史的敗北を味わった。キャメロン英保守・自民連立政権も財政再建を掲げて悪戦苦闘中だ。仙谷氏が番組の最後に言った「先進国はどこも大変なんだ」という言葉は実感がこもっていた。

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