「状況悪化」する福島原発事故


             (NHK2日午後7時ニュース)

 東京電力福島第1原子力発電所事故発生から3週間。誰もが原発問題評論家になったみたいだ。気にするなというほうが無理だ。基準以下といいながら、放射能に汚染された水道水を飲んだり、放射能が飛散した空気を吸っている以上、気にならないほうがおかしい。

 それでも日本人は今のところ、政府の発表を一応信じているから、パニックに陥らないものの、心底では一抹の不安も払拭できないのが本当のところだ。とりわけ、乳幼児を抱える家族の不安は一入に違いない。「東京より西で行くところがあるのなら、しばらくそちらに避難されたほうがよいですよ」とアドバイスする医者もいるほどだ。

 そう言われても、すぐ避難する欧州人や中国人とは違って、大半の日本人は優柔不断である。家族は避難しても、働き手は簡単に踏ん切りが付かないからだ。相当な決断が必要だ。まさか、仕事を放って逃げ出すわけにはいかない。日本人はそう考える。しかし、そう考えないのが大方の普通の欧州人や中国人かもしれない。

 銀座や新宿を歩いていると、中国人観光客が姿を消した。あれだけウジャウジャ闊歩して目障りのように思えたが、いなくなればなったで寂しいものだ。ほどほどがいい。欧州人はチェルノブイリを経験しているから本能的に怖いと思うのだろうが、中国人の逃げ足の早さは何によるものなのだろうか。分からない。

 事故発生から2週間経った3月25日の時点では、自分として「状況が果たして好転しているのか、それとも悪化しているのか。よく分からない」と書いたが、どうもその辺りから状況はガラッと変わった。しかも、悪くなったような気がしてならない。

3月27日=2号機のタービン建屋地下の汚染水の水面から1時間当たり1000ミリシーベルト(1シーベルト)以上の放射線量を検出(26日採取分)。

3月28日=2号機のタービン建屋の外にある地下作業用トンネル「トレンチ」が大量の水に満たされ、その水面から1時間当たり1000ミリシーベルトを超える放射線を検出。

4月2日=2号機の取水口付近にある「ピット」と呼ばれるコンクリート製立て坑にひび割れ(亀裂)が見つかり、内部にたまった高濃度の放射性物質を含む水が海に流出しているのを確認。付近の海水から1時間当たり1000ミリシーベルトを超える高濃度の放射線を検出。

原子炉燃料棒の損傷・溶融により流出した高濃度の放射性物質で汚染された水は現時点で2万トン前後。この汚染水がタービン建屋の地下や建屋外の坑道(トレンチ)、このトレンチとつながっている2号機の取水口付近にあるピットの亀裂を通じて海に流出。海洋を汚染していることが明確になった。

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