”開き直り”英語塾(上)

「”開き直り”英語塾」パンフ

日比谷文化図書館主催の日比谷カレッジ「英語が苦手なビジネスパーソンのための”開き直り”英語塾」に参加した。全2回で各回参加費1500円。英語学習に苦労している人がこの世の中にいかに多いかを物語るように、当日までに定員60人の受付は終了していた。

◆意地でも続けるしかないか

私も含め、「英語」は「道具」だと頭では思いながら、その道具がなかなか自分のものにならず、結果的にだらだらと学び続ける人も多いかもしれない。「英語はあくまでツールだから、勉強は早く終えて、自分の専門性を高めることに時間をかけましょう」と言われても、既に膨大な時間とお金を掛けてしまった者としては、すんなり、「はい、そうですか」とはなかなか言えない。言いたくないのが正直な気持ちだ。ではどうすればよいか。

私は、もうこうなったら、意地でも英語の勉強を続けるしかないという気持ちになっている。せっかく、過去50年間近く、英語と付き合ってきて、今さら縁を切ることなんてできない。自分の思い通りに英語をモノ(習得・マスター)にできていないが、それでも英語を学んできて良かったと思えることもあるからだ。既に会社定年を終え、英語をビジネスに生かすことは必須ではなくなった身にとっては、英語との付き合いをこれからどうすればよいかは結構、大きな問題だ。趣味というか、道楽で続けるしかないのかもしれない。ボケ防止にもなるかもしれない。

「”開き直り”英語塾」の講師は手島直樹氏。日産自動車でカルロス・ゴーン氏のアドバイザーを務めた人物。彼が提唱しているのは、「ビジネスパーソンにとって英語はあくまで『ツール』で、英語の勉強は早く終えて、自分の『専門性』を高めることに時間をかけましょう。あとは、『現場』で、どんどん試すだけです」。

◆幻想だった「ネイティブ願望」

たまに仕事で英語を使うだけの話だから、「相手の話すことがわかり、自分の言いたいことがわかってもらえば、それで十分」というのが基本的スタンスだ。要は「通じれば十分」と割り切った立場だ。日本人がネイティブと同等になるとしてもストレスが高まるだけだし、これだけ非ネイティブが増えた世界では非ネイティブ英語で十分だと主張している。文字通り、”開き直り”だ。

個人的には自分もそう思っていた。英米に永住するつもりもないし、英語同時通訳者になろうという気もなかった。英語は所詮、道具だという風にも思っていたが、それでも心の底では「ネイティブのような英語を使いたい、ネイティブになりたい」という思いが潜んでいたのかもしれない。「これだけ時間を投入し、努力してきたのだから、いずれ自分もネイティブみたいに英語を操れるようになれるのではないか、なれるはずだ」という錯覚を抱いていたように思う。

しかし、ようやく最近になって、「英語をネイティブにように操るようになれる」ことが全くの幻想でしかなかったことが分かってきた。薄々は感づいてはいたものの、自分では認めたくなかったのだろう。それを認めると、自分がこれまでやってきたことが「壮大な徒労」だったことを認めることになるからだ。しかし、もうそろそろ、英語マスターへの挑戦に敗北した事実を認めなければならない時期にきているようだ。手島氏の講演を聴きながら、そんな風に考えた。

◆捨てられないならば・・・

ただ、英語学習に投じた資金は50年間で恐らく、数百万円にはなっているのだろう。この資金はもう回収不能だ。社内使用言語を英語に切り替えた楽天やファース トリテイリング(ユニクロ)にいまさら転職するわけにもいかない。投資対効果から言えば、これまでの自分の英語学習は失敗だった。それを認めながらも、自分なりの方針転換を考えている。

「英語の達人」にも、もちろん「ネイティブ」にもなれなかったものの、英語との付き合いは棺桶に入るまで続けたいと思っている。あがきながらも、少しでも上達したいと思う。長足の進歩は全く期待できなくても、現在の英語力を維持できればいい。英語力は所詮「積み重ね」だから、脳は老化しようとも、インプットが多ければ、歩留まりが悪くても、蓄積量は増えるはずだ。

このことはリスニングで実感している。ほぼ毎日、仕事をしながら「BBC RADIO 4 extra」(ドラマ、コメディー中心)をもう2年ほどずっとながらで聴いているが、最初は意識しないと頭に入ってこなかった言葉が1つ1つの言葉として分かってくるようになってきたのだ。長く英語のシャワーを浴びているので、聴いた英語の量が蓄積されてきたのだろう。

ながら学習は勉強方法として効率的とは思わないが、仕事をしながらだから、効率は二の次だ。とにかく、たっぷりシャワーを浴びているうちに、意識をせずとも、1つ1つの単語が立ち上がって、分かるようになってくるのは嬉しい。1つのセンテンスとして意味が取れるようになってくれば、しめたものだ。集中学習には不向きだが、リスニング力を向上させるには膨大な時間を必要とする。

◆生涯学習メリットは何か

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