『国家の勢い』-技術の「坂の上の雲」モデル-

 

書名:『国家の勢い』-技術の「坂の上の雲」モデル-
著者:薬師寺泰蔵(国際政治学者)
出版社:NTT出版(2011年7月21日初版第1刷発行)

 

タイトルからして奇抜で、一応の章立てもされているものの、著者の発想・着想・連想はありとあらゆる世界を自由自在に飛び回り、駆け回る。それゆえか、飛躍があまりにも多く、付いて行くのが多少辛いところがあるが、それでも読み続けられるのはその自由気ままな発想のせいかもしれない。文章が散漫なのは気になるものの、それ以上に自由人として、伸び伸びと書かれている。書いていて、さぞ楽しかったに違いない。

著者の個性を形成しているのはその多彩なキャリアだ。1944年奈良県生まれ。慶応大学工学部電気工学科卒業後、東京大学教養学部に入ってそこを卒業。その後米国に渡り、マサチューセッツ工科大学政治学大学院に学び、日本に戻って埼玉大学大学院政策科学研究科教授、慶大法学部教授を歴任。その間にもカリフォルニア大学バークレー校、ドイツ国際問題研究所、フランス国際関係研究所の客員研究員、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター副所長、内閣府総合科学技術会議常勤議員も務めている。これに開発途上国で働いた経験があれば完璧だ。

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