那智の滝と熊野那智大社
熊野本宮大社から車で1時間ほどの那智勝浦町にあるのが「熊野那智大社」。コース的にはまず滝を見て、次に山腹の大社を参拝する順路をとるのが普通だ。祭祀の起源は日本一の落差を誇る那智の大滝。主祭神として国生みの女神「夫須美大神」(イザナミノミコト)が祀られている。
那智大社の隣りに那智山青岸渡寺があった。神社は神殿の裏に隠れて中に入れないが、お寺はお参りは自由。庶民にとってはグーンと身近な存在だ。道を降りていくと、同寺の朱色の三重塔が建っていて、その背景に大滝が落ちている。2つの取り合わせが美しい。
三重塔からずっと下に降りてくると、山桜が既に満開で、さらにミツマタが黄色い花を咲かせていた。ミツマタは一カ所ではなく何十カ所も植えられていた。これほどの群生地は知らない。
熊野には行ったが、結局「熊野古道」は歩かなかった。とにかく広い。熊野古道に数えられているのは、中辺路(なかへち)、大辺路(おおへち)、小辺路(こへち)、伊勢路(いせじ)など。和歌山の熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)を中心に、奈良、三重の各県に及ぶ。
中辺路が最も人気の高いルートで、今回そこを目指したが、車で巡ると、古道を歩く気分にならない。自分の足で歩くならば、各所にある旅館や山小屋、民宿、温泉旅館などに何泊もしながらでなければ意味がない。日帰りでちょっと見て回ろうという安直な気持ちでは昔の人に申し得訳ない。