『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』

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書名:『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』
著者:小林弘人(株式会社インフォバーン代表取締役CEO)
出版社:PHP新書(2014年4月1日第1版第1刷)

 

著者は「インフォバーンCEO、デジモ代表取締役、ビジネス・ブレークスルー大学教授。「ワイアード」「ギズモード・ジャパン」など、紙とウェブの両分野で多くの媒体を立ち上げる」と略歴にあるが、正直言って、どの肩書きも知らない。大学だけは大前研一氏が運営しているウェブ大学であるのを知っているくらいだ。

ウェブの世界はまだ新しく、そこで活躍している人たちも既存の世界とは縁のなかったニューカマー。主張している内容も新しそうに思えるものの、どこまで信じていいのか分からないのが本当のところだ。

言葉からして説得力がない。斬新そうな言葉を次から次へとつむぎ出し、何か重要そうなことが書かれているように思えるものの、今一説得力がないため、付いていけない。付いていっても、そこには何もないと思えてならない。

しかしながら、革新的な世界というのはそういうものだとも思え、全くの無関心を装うのも世界の進歩にとって好ましくない。そんなアンビバレンツな気持ちを抱きながら、この本を読んだ。しかし、読んだ先から内容を忘れる。心に響かない。すーっと頭に入ってこないのだ。

「ハイテクと人間性、所有と共有、希望と畏れ、ネット社会とリアル社会。さまざまな価値観が行き交う交差点の中心で、インターネットとは誰のためにあるのか、そしてこれからどこに行くのかを考えるべく、本書は書かれた」とチ著者は書いている。

否が応でも、われわれはウェブの時代を生きていかなければならない。リアルの世界とネットの世界の両方を行ったり来たりしながら生活していかなければならない。そんな時代に生きていることだけは確かだ。

■「おそらくキュレーターやプロの編集者という役割がこれからますます重要になる、と私は考えている。テクノロジーが発達すればするほど、コンテンツは断片化されていく。それぞれの情報に意味やストーリーという文脈をもたせなければ、ユーザーに記憶されることなくそのコンテンツは流れ去り、消えてしまうだろう。『ハフィントン・ポスト』というニュースサイトは、ジャーナリズムにこのキュレーションの考えを取り入れた先駆だ。海外で起きたデモの様子がさまざまなソーシャルメディアで流れるなか、それらを時系列でまとめて逐次配信したのである」

■「生身の人間にとって、ウェブ社会はあまりにも速度が速すぎる。情報は洪水のようにランダムに押し寄せてくるが、人間の生体にはリズムがある。そろそろお腹が減った、ちょっと眠い、さあやるぞといったリズムのなかで私たちは生きている。ウェブの速度に置いていかれそうな気分になるのは無理もないことだ」

■「ふと頭に浮かんだ単発の思いつきを、どうやって価値あるアイデアに変えていくのか。既に述べたようにマッシュアップという言葉がカギになる。それまで違う別々の世界だったものを組み合わせることで、新たな価値を生み出すというものだ」

■「いままであまり関わりがなかった人たちにみつけてもらうには、まずネットで発信をすることが近道となる。ウェブサイト、ソーシャルメディア、ブログなど、発信の方法はいくらでもある。しかし発信が薄っぺらだと、ただのノイズになってしまう。ネットではそれでなくても情報が溢れかえっているから、ノイズがシグナルになるのは難しい。強調したいのは、ブログを書くだけではなく、リアル社会へもそれを同時に発信していかなくてはダメだとうことだ。とにかく痕跡を残すことを積み重ねていき、そしてその家庭をすべてオープンにする。ある日、突然ファインダブルにはなれない」

■「私の考える『アイデア』は、発想やひらめきなどの思いつきだけではない。最初はもちろん思いつきでかまわないが、アイデアというものは単体では価値がさほど存在しない。そのアイデアをどう磨き、どう実行するのかというアイデアの執行能力が重要なのだ。さらにビジネスでは、実現までの速度も要求される」

■「ほんとうに使えるアイデアを生むためには、とにかく反芻して考えつづけ、アイデアを練り込んでいくしかない。途中で考えつづけるのをあきらめてしまうくらい辛い作業だ。アイデアを発想するだけではなく、それ以降もアイデアへの情熱を注ぎつづけられるかどうかが勝負を分けるのだ」

 

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