日比谷「かつ吉」

青じそご飯を食べたのは初めて

青じそご飯を食べたのは初めて

 

1つのひれかつが重かった

1つのひれかつが重かった

 

昔、「とんかつとは豚のことか」と未来の奥さんに聞いて笑われたくらいだから、食に関して超音痴であることは折り紙付きである。関西では肉と言えば「牛」(ぎゅう)のことだったし、普通にカレーと言えば、「ビーフカレー」のことだった。

「豚」のことはとんと分からなかった。とんかつを初めて食べたのも東京に出てきてから、それもかなり後になってからだった。

とんかつを最初に食べたのがいつだったかは思い出せない。豚自体がそんなに好きでもなかった。豚を定期的に食べるようになったのは東京生まれの家人と一緒になってからだ。

牛肉についてはともかく、とんかつについてはそんなに拘ったこともなかった。目黒の「とん喜」や東銀座の「かつ銀」にはそれなりの執着はあるものの、練馬の「とん陣」やとんかつ専門店「和幸」でも十分おいしいと思っていた。

それが内幸町の日比谷国際ビルB1に新規開店した「かつ吉」で食べて、とんかつにも名店や物語があることに初めて気づいた。昔からあったはずだが、関心が向かわなかっただけだ。とんかつの世界も深そうである。

「かつ吉」を運営しているのは株式会社「菩提樹」(吉田次郎社長、文京区本郷1-14-3東野ビルB1)。しかし、菩提樹は「和牛ハンバーグと自然派ワインを楽しむレストラン」で、創業は1984年。「かつ吉」の屋号を冠していない。

「かつ吉」の原点はむしろ、「かつ吉水道橋店」(本郷1-4-1全水道会館ビルB1)で、こちらは1962年開店で、既に52年間の歴史を持つ。創業者は故吉田吉之助氏。渋谷店、新丸ビル店に加えて今年4月から日比谷国際ビル店をオープンした。

ビルは近代的な高層ビルだが、店舗は実にレトロな仕上がり。創業者が集めていた江戸時代の水道木管をモチーフに、ケヤキなどの無垢材や古材がふんだんに使われている。

味噌汁椀や漬物入れ、サラダボール、椅子などは群馬県上野村の職人が作ったものだ。ランチのヒレ定食の小(120g)でも2200円と高く、清水の舞台から飛び降りるつもりで頼んだが、値段にふさわしい内容だった。冒険はしてみるものだ。

 

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