「ジェネリック医薬品」考

ジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品

 

新薬(先発医薬品)と同じ有効成分、同じ効果を持ちながら、新薬に比べ2~7割も安い後発(ジェネリック)医薬品。普通、先発薬はメーカーが独自に付けた商品名で呼ばれるが、その薬の元になる有効成分の一般名で処方されるので、ジェネリック医薬品と呼ばれるという。

若くて健康な時にたまに医者に掛かって薬を処方してもらっても、先・後発薬の価格差にそんなに神経質にならなくても良かった。しかし、抱える病気の数が増え、飲む薬も半端でなくなると、そんな悠長なことは言っておれない。医療費の窓口負担だけで3割と高いほか、それに薬代が加わって、ダブルで懐に響いてくるからだ。

そこで、嬉しいのが「ジェネリック」の存在だ。とにかく値段が新薬に比べ格安だ。半額以下も少なくない。既に公表された成分で商品を作るので、研究開発が不要。安全性や有効性を確認するための臨床試験も省略できる。安さの秘密はそれだ。

しかし、いくら安いと言っても、何せ薬。聞いたこともないメーカーの薬なら、いくら厚労省のお墨み付きだとしても不安だし、粗悪品ではないかとの心配も付きまとう。

そういうこともあって、医療機関の間ではこれまでジェネリック医薬品を使用することへの抵抗が強かった。「医療費の裏ワザと落とし穴」(DIAMOND online 2012年9月20日フリーライターの早川幸子氏)の記事によると、「諸外国では積極的にジェネリックが使われており、2009年の医薬品全体に占める後発品のシェアは、アメリカが72%、イギリスが65%、ドイツが63%なのに対し、日本は2011年時点でも22.8%」。

厚労省はジェネリックを処方すれば診療報酬を加算し、医療機関側を誘導する一方、ジェネリックを積極的に取り入れている調剤薬局には手厚い報酬を出すようにインセンティブを付けた。この結果かどうか知らないが、2013年第3四半期(10-12月)は44.9%(数量ベース、速報値)に跳ね上がった。

2013年度からシェア算出式が変更され、新指標が使われているから、欧米との比較が正確には分からない。よく理解できない。

自分の飲んでいる薬の場合、以下の通りだ。

■血圧降下剤

先発薬 ディオバン錠80mg ノバルティス  薬価109.1円 6546円(60日分)
後発薬  バルサルタン錠80mg   日本ジェネリック 54.6円 3276円(60日分)

処方薬との薬材料の差額は2ヶ月分で3270円だ。1種類でこれだから、何種類にもなると、結構な額になる。問題は自分の欲しいジェネリックがどこの薬局でも置いているとは限らないことだ。後発薬がなければ、どうにもならないが、仮に後発品があっても、その薬局に在庫がなければ先発品を受け入れるしかない。あるいは置いてある別の薬局に行くしかない。

薬局とは「処方箋を渡して、薬を受け取るだけの場所。どこの薬局も同じだ」と思っていたら、どうもそうではなさそうなのだ。知らなかった。これだけジェネリックが普及してくると、今度はジェネリック医薬品を揃えている薬局を把握しておく必要がある。知らなければ損をする。

薬局のほうもジェネリック品の品揃いでビジネス拡大に結びつけようとしている。日本ジェネリックは調剤薬局業界2位の日本調剤(本社東京)が2005年に設立した後発薬メーカーだ。

これまでは医者や薬局のいいなりにしていれば良かったが、最近はそうではない。患者自身がしっかり考えなければ、えらく損をする時代だ。病気だけでなく、あらゆることに目配り、気配りをしなければならない。患者も辛いよ。

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