丹波林産振興センター

林産振興センター

これが原木市場だ

 

森の香りがぷんぷんしている

森の香りがぷんぷんしている

 

伐採された太い木材

伐採された太い木材

 

林産振興センターと聞いてもピンとこない。農業や水産業はともかく、林業は完全に置いて行かれた感じ。田舎に帰って、周りを見渡せば、視野に入るのは山ばかりだが、それが産業として成り立つと考えたことはほとんどなかった。

林業が忘れ去られたから久しい。それでも昔は小中学校への行き帰りに見掛けたことのある製材所もいつの間にか姿を消した。外材に押され、国産材は見捨てられた。

親父がお墓の周りに植えた50本ほどの檜の木も既に50年を経過し、そろそろ切り頃を迎えている。しかし、木材の相場が下落し、切り出すための労賃や運送費などのコストのほうが高く、割に合わないのが実情だ。

自分の住む町の、しかも自分の家がある集落に「丹波林産振興センター」(兵庫県丹波市柏原町下小倉)が業務を開始したのは1996年1月。翌年には管理棟も完成し、本格的に稼働した。

もちろん、村を出て、東京暮らしの真最中だったから、帰省したおりに知っただけで、関心も持たなかった。隣家のご主人が理事長をしていることを本人から聞いていたが、話題は広がらなかった。林業に興味がなかったためだ。

丹波林産振興センターは加古川流域で産出される丹波材(原木)の流通拠点として位置づけられている。生産者の森林組合が切り出してきた木をここに集め、需要家の製材所などに販売する。その市場としての役割を担っている。

こうした原木市場は全国に現在、317カ所(2008年時点)存在する。1975年時点には473カ所あった。原木価格は創設時点から3分の1程度の価格に下落しているというのだから、当然かもしれない。

 

株式会社バイオマスたんば

株式会社バイオマスたんば

 

田舎の家の薪ストーブで燃やす薪はストーブを買った店(兵庫県小野市)から買っている。家から車で40分ほどかかる。今年の冬に使う薪は仕入れなければならない。そこで、以前から調達できると聞いていた林産センターに寄ることにした。事務所で教えられたのが同じ敷地内にあるこちら。

同社では「山から切り出してきた材木の中に杉と檜以外の雑木も混じっている。それを希望者にお分けしている。販売はトン単位で、自分で持って帰ってもらうことになります」(荻野浩三工場長)。

最近は木材が工業品として扱われるようになり、均質性を求められる。質の劣る木材はB級、C級材とされ、チップとする用途しかないという。杉と檜でさえそうで、雑木となるとなおさらだ。原木市場ではねられた材木がこちらに回されてくるようだ。

薪ストーブ屋さんで買う薪はきちんとストーブの大きさに合わせて切られた薪。すぎに燃やすことができる。しかし、ここで買うのは切り出された木そのもの。それを家に運んで、自分でストーブに入る大きさに切らなければならない。

そう言えば、昔、村の雑木林に雑木を切り出しに行った。それを耕耘機に積んで、自宅に持ち帰った。さらに、それをのこぎりで適当な長さに切った。次は斧で割った。それでやっと、「おくどさん」(煮炊きする土製のかまど)にくべることができる。大変なプロセスだった。

薪はストーブ屋さんで買うと思っていた。原点を思い出した。木材を運送するトラックを借りたり、チェーンソーを買ったり、いろいろ準備が必要だ。すごすごと引き返すしかなかった。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

丹波日誌

Previous article

早くも栗の季節