人質-日本人がテロの標的になる現実
イスラム過激派組織「イスラム国」のメンバーとみられる男が、72時間以内に2億ドル(約236億円)を支払わなければ拘束している日本人2人を殺害すると脅す映像が20日、インターネット上に公開された。
映像に出ているのは千葉県出身の会社経営者湯川遙菜さん(42)と、仙台市出身のフリージャーナリスト後藤健二さん(47)とみられる。
朝日新聞によると、後藤さんは番組制作会社を経て、1996年に映像通信会社「インデペンデント・プレス」(東京都港区)を設立。90年代半ばから小型カメラを持って、戦場や紛争地帯を取材していたという。2014年4月に湯川さんとシリアで知り合った。
いったん帰国後、10月にトルコ経由でシリアに再入国。数日でまた日本に帰ったのち、22日ごろ、再びシリアに向かった。後藤さんは24日、シリア人ガイドに「イスラム国の支配地域へ行く」と言って、「危険だ」と止められたにもかかわらず行った。29日に帰国の予定だったが、そのまま消息が分からなくなっていた。「イスラム国」に拘束されていたとみられる。
湯川さんは2014年1月、軍事会社を立ち上げ、4月にシリアに渡航。北部の反体制組織「自由シリア軍」(FSA)の拠点に留め置かれていて、後藤さんと出会った。湯川さんはFSAと交流のあって通訳を務めた後藤さんに「民間軍事会社として経験を積むために来た」と説明したという。
湯川さんはその後帰国している。それにもかかわらず昨年7月に再びシリアを訪れ、8月に「イスラム国」に拘束されたとみられる。