バブルビルの消滅
日本長期信用銀行の本店ビルとして1993年に竣工したこのビルは建物の両端の下側が大きくえぐられた特異な形で世間を騒がせた。バブルの象徴みたいなビルだった。
長銀がバブル崩壊で破綻した後は新生銀行が使用していたが、2008年にモルガン・スタンレー系不動産ファンドが1180億円で取得。その後ローンがデフォルトし、2010年に新生銀行も退去し、空きビル状態が続いていた。
そのビルを2012年12月7日に引き渡しを受けたのは日本の不動産ファンド運営会社ケネディクス、東急不動産、日本政策投資銀行の3社。13年から解体に着手を始めた。
どうやら解体作業はほぼ終わったようだ。これから新しい賃貸オフイスビルが建設される。解体・建て替えを併せて「内幸町二丁目プロジェクト」と呼ばれている。2017年の完成を予定している。旧ビル解体から新ビル竣工まで4年もかかる大工事だ。解体が終わっていよいよ今度は建設が始まる。
それにしても、解体が始まった時期からこれまでずっと隣のプレスセンタービルで仕事をしてきたが、工事の騒音や振動で仕事が手に付かなかったということはなかった。これまでの経験だと、隣のビルの建設工事ではドカン、ドカンと地面が揺らぎ、船に乗っていてめまいがすることもあった。プレスセンターの記者会見に差し障りも出てくるのではないかと内心心配していた。
解体作業の技術も昔に比べ、格段に向上しているようだ。21階建てのビルが少しずつ少しずつ、タワークレーンを使って解体されていった。チリも積もれば山となる。いつの間にか、21階建てのビルが消えていた。バブルも物的証拠も一緒に消えた。
追記
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2015年5月15日(金)午前10時30分すぎ。仕事先の日本プレスセンタービル(千代田区内幸町)の6階でトイレに行った帰り、ふと外を見たら、こんな光景が目に入った。しばらく前まではまだ解体作業が続いていたが、ついに終わったようだ。
祝いごとのためか紅白幕が張られ、近くには黒服姿のスタッフが式典の開始を待っている様子。敷地内の向こうには高級車が何台も止まっていた。中は見えないが、テントも設けられている。めでたいセレモニーが予定されているにちがいない。
もちろん、その場でずっとウオッチしているわけにはいかないので自室に戻った。あとでもう一度見たが、外からは何も変化の兆しをキャッチできなかった。帰宅後、ネットを検索したら、「内幸町二丁目プロジェクト」の新築工事が着手されたとの記事が出ていた。
地上21F、地下4Fの超高層複合ビルが建つという。新ビルの竣工は2017年6月30日。2年後だ。一時帰宅困難者の受け入れ体制も整備されることになっている。