「安倍首相戦後70年談話」に思う

 

記者会見する安倍晋三首相

記者会見する安倍晋三首相

 

安倍晋三首相は14日、戦後70年を記念し、首相談話を発表した。談話は臨時閣議で決定したのち、首相が記者会見して読み上げた。

談話は会見直後にネット上で公開された。約3400字。読み上げは20分以上続いた。

全文は何度も読んでみた。常に比較される村山首相談話「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話、1995年8月15日)も読み直した。こちらは約1300字。安倍談話は村山談話の3倍。

安倍談話では村山談話で示された歴史認識に関わる4つのキーワード「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」「心からのお詫び」が盛り込まれるかどうかが注目された。

安倍首相は談話作成にあたり、当初「お詫び」や「侵略」は盛り込まず、「謝罪外交」から脱却したいとの持論を貫きたい考えを持っていたといわれる。しかし、安全保障関連法案の審議に伴い内閣支持率が低下したことや連立与党・公明党の要請も受けて、両方とも盛り込む現実的な対応に切り替えたとされる。

4つのキーワードが明記され、字数も大幅に増えたものの、安倍談話を何度読んでも、心の底からの反省の気持ちはにじみ出てこない。無理に反省をしようとしているようで、文章が何とも不自然で、他人事のように感じられるのだ。

こんな談話ならむしろ出さないほうが良かったとも思える。村山元首相は大分市での記者会見で「植民地支配や侵略をしたことが大変悪かったと率直に謝る印象の文になっていない」と批判したが、村山談話はあまりに率直すぎて、逆に政治的メッセージとしては問題のように思える。難しいものだ。

談話作成にあたっては、安倍首相は、戦後70年談話に関する有識者会議『21世紀構想懇談会』(座長・西室泰三日本郵政社長)の報告書を参考にすることで各界の考えを取り入れることにした。それゆえ、談話はバランスは取れた内容になったものの、安倍首相自身の本音は影を潜めることになった。読んでいて、心を打たないのだ。

日本の政治家の言葉はなぜこれほど、聞く者の心に響かないのか。自分の言葉を持たないのか。聞いていても胸を打たない。面白くもない。あれだけ多くの言葉を吐き出しながら、心に迫る言葉が全く出てこないというのも不思議極まりない。政治家に信を持てないのはこのためかもしれない。

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