大腸は「病気の発生源」
食と生命のサイエンス・フォーラム2016が11月22日(火)午後、東京大学総括プロジェクト機構総括寄付口座「食と生命」として伊藤国際学術研究センター・伊藤謝恩ホールで開かれた。主催はネスレ栄養科学会議とネスレリサーチ東京。伊藤雅俊・信子セブン&アイ・ホールデングス名誉会長の寄付によるものだ。伊藤氏はイトーヨーカ堂の、もう一人のセブンイレブン創業者は鈴木敏文氏だった。
一番有名なのは理化学研究所主任研究員の大野博司氏。今年のノーベル物理学賞受賞者のリストにも入っていたらしい。いずれにせよ、大教授の登場だった。しかし、今回は理研イノベーション推進センター辨野特別研究室の辨野義己特別招聘研究員にした。まだこちらのほうが分かりやすかった。
人間が母親の胎内にいるときは完全に無菌であるが、分娩と同時に産道や外界からの細菌の汚染を受け、まもなく腸内にたくさんの細菌が棲みつくようになる。このような細菌を「腸内細菌」または「腸内細菌叢」あるいは「腸内菌叢」と呼んでいる。細菌フローラとも言う。
われわれ人間は、この腸内菌叢と一生の間、切っても切れない関係を持って生きている。腸内常住菌が棲息する場である大腸はヒトの臓器の中で最も種類の多い疾患が発症する場でもある。
腸内常住菌が直接腸管壁に働き、消化器の構造や機能に影響を与え、各人の栄養、薬効、生理機能、肥満、老化、発がん、免疫、感染などに未知の極めて大きな影響を及ぼすことになり、腸内常住菌の構成とその生理作用に関する研究は、現代医療研究のトップランナーに位置づけられているほどだ。
長寿菌もいる。健康長寿を維持するためには食べ物と運動が一番重要だ。