拡大する「ミールキット」市場
ゲスト:高島宏平(オイシックスドット大地社長)
テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く
2017年10月23日
オイシックスは2017年10月1日に大地を守る会と経営統合した。統合新会社オイシックスドット大地の社長として会見するのはこの日が初めてだという。統合により、らでぃしゅぼーやを抜いて野菜宅配会社として日本最大になった。
農業分野の新ベンチャーの勢いはすさまじく、最近は9月13日にも東京ビッグサイトでも高島社長は登場した。そのときのことは既に書いているので、今日はそれ以外のことを書いてみたい。
新しい会社が統合して良いとこ取りをしても仕方がないので、新しく企業理念づくりを始めることからスタートした。「これからの食卓、これからの畑」がそれだ。
・より多くの人が、よい食生活を楽しめるサービスを提供します
・より食を作る人が、報われ誇りを持てる社会を実現します
・食べる人と作る人とを繋ぐ仕組みが持続可能であるよう、つねに進化します
・食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決します
・私たちは、食のこれからをつくり、ひろげていきます
会社は1つになったものの、2ブランドで維持する方針だ。オイシックスは比較的若いお母さん、小さなお子さんを中心にすごく忙しくて時間はないものの、後ろめたくない食事を家族に出したいという思いに提供していく。「後ろめたくない時短」「短い時間で安心安全、より美味しく、楽しく」。
大地を守る会はお子様が独立された2人暮らしが対象で、「丁寧な暮らしを送りたい」と願っている人々。健康を長く維持しながら、しっかりした暮らしを送りたい人たちを対象にしている。
生産者は足りず、売り上げを伸ばしきれなかったオイシックスに対し、大地は生産者を持っていたので十分な調達が可能となった。これまでのボトルネックが解消できたことが一番シナジーが大きい。
売上高は約230億円(17年3月期)で、有機や特別栽培の野菜、無添加加工食品などのネット宅配が中心。商品コンセプトは「つくった人が自分の子どもに食べさせることができる」食材だけを販売している。食品流通業を始めてときに自分で食べない人が多かったので、新指針を打ち出した。
「ミールキット」(献立付きの半調理済みの食材サービス)の市場が大きく伸びている。とりわけ米国が主たる市場で、最大手は2012年創業の食材宅配サービスのブルーエプロン。100万人が利用している。国内でもプレーヤーが増加し、市場も拡大中。ヨシケイやコープデリの進出、早くも競争激化している。
オイシックスドット大地は主菜・副菜を20分で調理可能な「キットOisixシリーズ」を600万食販売し、各種キットの開発・提供努力を続けている。