「腕力衰え体を支えるのも大変」なバリウム検査

 

練馬区医師会医療健診センター

 

会社員の加入している組合健保を脱退した人たちの加入する国民健康保険に加入している。75歳以上になるとまた別の後期高齢者医療制度に入らなおさなければならない。

日本の保険制度は後から次から次へと変わっており、つぎはぎだらけ。保険の種類によって保険料や保険給付も異なり、ややこしくてかなわない。

今年も練馬区の健康診査を受けたが、最寄りの医療機関で実施できるのは採血、採尿、それに胸部エックス線検査まで。一番肝心の胃部エックス線検査(バリウム検査)は練馬区医師会医療健診センター(練馬区高野台2)まで行かなければならなかった。自己負担は1000円。

健康診断でバリウム検査を受ける第1の目標は、胃がんの早期発見だ。早い段階で発見できれば、ほぼ完治できる。

バリウムを飲む検査は「消化器造影検査」といい、食道、胃、十二指腸の胃部をX線検査(レントゲン撮影)して病変がないかをチェックする。

バリウム検査では胃を膨らませるための発泡剤(炭酸ガス)を飲み、胃を膨らませることで内部を観察しやすくするのだが、胃壁にバリウムを付着するために撮影用の台の上で体を仰向けやうつ伏せになったり、上下を変えたり、左右を回転させる必要がある。

検査技師から指示があるので、それに従って体を動かすのだが、バリウムはいったん付着してもまた剥がれてしまうので、これらの動きが何度でも必要になってくる。

この検査技師の指示に従うのがかなり辛いのだ。71歳と言えば体もかなり硬くなってきている。右側に3回回ってくれと言われたときにはどうしようかと思った。ひざや手首、肩も痛めやすい。のんびりできるわけではない。患者は私1人ではない。次から次へとやってくる。迅速さを求められる。老人にとってこの対応は悲壮である。

科学技術も月はおろか火星や小惑星にまで行くほど発達している時代だ。人間が腕力や脚力で回らなければならない検査はもうやめてほしい。自分で回ってくれる検査機械を作ってほしい。

あんな「幅が狭くて滑る」ところで寝返りを打つのは要求するほうが無茶ではないか。斜め逆さになる体を腕で支えるのは死にそうだ。特に高齢者は難しい。

しかし、終わったら、結構みんなケロッとしている。平気のへいざ。しかし、検査している5分程度の時間にみんな七転八倒の苦しみを味わっているのだと思うと、もう来年は無理かもしれないと思った。

バリウム検査以外に、内視鏡検査(胃カメラ)という方法もある。バリウム検査は低コストが一番の魅力だが、半面がんの発見率では胃カメラに負ける。また胃ABC健診というのも登場しているという。

しかし国保は何と言っても低コストが重要。患者は二の次だ。患者本位ではないのだ。だからほとんど全員がコストの安いバリウムを飲むことになる。自分でも本当に我慢できるのか。今年はそれでも何とかなったが、来年はどうか。あの狭い所でそんなことを考えていた。

 

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