【東北ドライブ】藤沢周平記念館は空振りなれど国宝「羽黒山五重塔」に休館日なし

 

温海川(あつみがわ)の清流(左は萬国屋)

 

 

温泉宿の朝の楽しみはまず朝風呂に入ったのちにいただく朝食だ。萬国屋の朝食は鯛茶漬けだった。なかなか朝から鯛茶漬けは出てくるところは少ない。

萬国屋はこだわりの「天然鯛」、「お出汁」、「特製胡麻だれ」を使用し、3段階でいただく。まずは鯛のうまみを余すことなく抽出した出汁で炊き上げた庄内めしを一口「鯛めし」でいただく。

次は庄内浜で水揚げされた新鮮な真鯛を山形の美味しい御飯と一緒に、最後は特製胡麻だれを絡めてたっぷりの出汁をかけて薬味と一緒に食べる。朝から鯛茶漬けとはなかなか豪気なものだった。

 

藤沢周平記念館(山形県鶴岡市鶴岡公園内)は本日休館なり

 

■休館日でがっくり、「もう一度来い」か

 

藤沢周平が好きで、ずいぶん読んできた。今回の旅も彼の記念館を訪ねるのが主な目的だった。それが休館日だった。「あなたにとって藤沢周平はその程度のものか」と言われても反論できない。

老いたのかもしれない。事前にチェックしなかった。てっきり月曜日が休館日だと思っていた。そんなに好きなら事前に確かめるのが普通だ。今さら嘆いても詮無きことである。

藤沢周平。本名は小菅留治(こすげとめじ)。1927年(昭和2年)12月26日生まれ。山形県出身の小説家。亡くなったのは1997年(平成9年)1月26日だ。

江戸時代を舞台に、庶民や下級武士の哀感を描いた時代小説を多く残している。特に、架空の藩「海坂藩」(うなさかはん)を舞台とした作品群が有名である。長女遠藤展子はエッセイスト。出身地の山形県鶴岡市に2010年(平成22年)、「鶴岡市立藤沢周平記念館」が開館した。

藤沢作品については当ブログでも数多く取り上げている。彼の書斎や生活風景を見たかったが、かなわなかった。「もう一度来い」ということなのだろう。

 

酒井家の居城「鶴ヶ島城」

 

庄内柿

 

■渋柿の大王が脱渋で甘くて四角い「庄内柿」に

 

柿は中国や日本など東アジアが原産で、ヨーロッパやアメリカには日本から伝わり、学名も「kaki」と記されている。品種も1000種近くあるといわれるが、大きく甘柿と渋柿の2つに分けられる。

この中でも甘柿の種類は非常に少なく、20種類足らずしかない。代表的なものは「富有柿」で、甘柿生産量の約80%を占めている。かつて一世を風靡した次郎柿は3%ほどに落ち込んでいる。一方渋柿は「平核無」が同じく80%を占めている。

フーズリンク「旬の果物百科」によると、甘柿と渋柿の違いは、渋の原因であるシブオール(タンニン)の状態にあるという。どちらも同じくらい含まれているにもかかわらず、甘柿の場合は水に溶けない状態になっている。渋柿はこのシブオールが水に溶ける状態のまま残っているため渋いという。

収穫後に「渋抜き」をする。炭酸ガス法、加温法、アルコール法などいくつかある。天日干しによるものが干し柿となる。

庄内柿は四角い種なし柿だ。渋柿の大王といわれるが、正式な名称は「平核無」だ。アルコールと炭酸ガスを併用した大規模脱渋装置で渋を抜くと甘みもたっぷりの柿が出来上がる。

庄内柿にも新ブランド「柿しぐれ」が登場している。これまでのように収穫後に脱渋するのではなく、木になっている状態で「樹上脱渋」を行う。具体的には、果実が青いうちに固形アルコールを入れた袋を1個1個かぶせ、気化するアルコールで渋みを抜く。

柿しぐれは収穫後すぐに食べることができるうえ、甘柿のように果肉にはゴマ状の斑点が無数に入り、パリパリの食感を持つ。日持ちも良いことから、遠隔地への出荷でも品質が保たれる。贈答用の新ブランドとして期待を集めている。

 

小学生の社会見学も

 

■クラゲの水族館

 

仕方がないので同じ市内にある鶴岡市立加茂水族館(鶴岡市今泉大久保)に行った。この水族館はクラゲに特化した展示が話題で、「世界一のクラゲの水族館」とも言われている。あまりにたくさんクラゲがいるので、どれがどれかよく分からない。

これが現実なのかもしれない。

 

 

日本初展示と思われるパルモ。成長すると縁が青紫色に色づく

 

 

 

オワンクラゲ、傘の縁に綠色蛍光タンパク質があり、UVライトを当てると緑色に発光する

 

エチゼンクラゲ

 

けさらんばさらん

 

なぜこんなところにこんなものがあるのか不思議だが、「けさらんさらん」(ネットではケサランサランのほうが多い)が展示してあった。よほど珍しいものなのだろう。

ウィキペディアによると、江戸時代以降の民間伝承上の謎の生物とされる物体。外観はタンポポの綿毛やウサギの尻尾のようなフワフワした白い毛玉とされる。西洋ではゴッサマーやエンゼル・ヘアと呼ばれているものと同類のものと考えられているという。

これを持っていると、①衣類が豊富になる②病気にかからない③金持ちになる-といった良いことがあるといわれた。他人に見せると効力がなくなるとしてみんなタンスの中に隠していたという。

何か知らないが、貴重なものらしい。

 

 

羽黒山へはこの随神門を通っていく

 

杉の巨木の間に五重塔が見える

 

国宝羽黒山五重塔

 

出羽三山とは山形県鶴岡市にある羽黒山(414m)、月山(1984m)、湯殿山(1504m)の総称で、1400年以上前の推古元年(593年)、第32代崇峻天皇の第1皇子・みね子皇子が開いた。

江戸時代には「西の伊勢参り、東の奥参り」ともいわれ、出羽三山参りは人気を博したといわれる。羽黒山、月山、湯殿山へそれぞれ参拝するのが正式な参拝コースだ。

羽黒山の随神門から歩いて10分ほどのところに国宝羽黒山五重塔が立地している。東北地方では最古の塔で、平将門の創建と伝えられ、国宝に指定されている。五重塔は京都の東寺や醍醐寺、奈良の法隆寺や興福寺などがあるが、東北地方ではこれが唯一とされる。

 

柿シェイク

 

随神門のすぐ近くにお休み処「Zuisin門」があったのでランチも兼ねて食事をした。月山の麓でそばを栽培しているという。この十割そばと野菜てんぷら、それに珍しい柿シェイクを頼んだ。

この冷たくてシェイクが実においしかった。柿を2個半分使っているという。「うちは柿の木が30本ある。この柿を何とかメニューにできないかといろいろ考えた結果、生まれたんですよ」と女主人。

 

月山の麓でつくった十割そば

 

旅館「佐勘」の広大なロビー

 

 

資料館

 

300年消えたことのない火

 

家宝「聖火」の由来

 

 

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