「非常事態宣言」も解除され2年ぶりに居酒屋へ=新宿ハルチカで出会った「サバの文化干し」

2年ぶりの居酒屋

 

■4度目の宣言解除で2年ぶりに居酒屋へ

 

もういつから出されたのかも分からなくなってしまった緊急事態宣言。最も感染者数が多い東京は1年遅れの2021東京オリンピック・パラリンピック時も発令が続いていたことをよく覚えている。

4回目の今年の夏は7月12日から8月22日まで発令され、さらに8月31日まで延長された。9月13日には一度延長され、結局解除されたのは9月30日。宣言が出されたのはほぼ2カ月半に上った。延長もあって一体いつからいつまで宣言期間なのか分からなくなってしまった。

10月1日から緊急事態宣言が解除されたものの、東京都は飲食店での酒類の提供は自由ではなく、感染対策の徹底の認証を受けた店に限って午後8時まで可能となった。営業時間は午後9時まで。認証を受けていない飲食店は酒の提供の自粛と午後8時までの時短営業を求めている。

 

銀杏

 

■出撃したのは食堂酒場ハルチカ

 

「宣言も解除されたので・・・」と飲みの連絡があったのは10月15日。30年ほど前から何かと言うと時々会っている仲間。ワシントン、ロンドン、ブリュッセルと世界を股にかけて仕事をする人間で話していて面白い。

今は会社も辞めて自宅の一室をオフィスに改造し、契約を結んで仕事をしている。もっぱらオンラインワークで、外に出るのはせいぜい1週間に一度。会社に出なくても済むオンラインのメリットを強調していたが、会合のあとの一杯がなくなったのは辛いと告白している。特に欧州は一杯飲みながら仕事が始まるのも同然で、コミュニケーションが格段に減ったことを嘆いていた。

18日に新宿西口交番前に会うことを約束。行ったのは小田急新宿西口ハルクの地下にある横丁タイプの店が8店舗入っている「食堂酒場ハルチカ」。ビックカメラの入っているハルクビルの入り口手前を下に降りる階段がある。

階段を降りるとすぐにあるのがミュンヘンと博多もつ鍋おおやま。さらにその下の中地下3階には8店舗が入居。ハルチカは2010年に開業し、2018年9月には中地下3階のみリニューアルした。

新規に入ったのは4店舗。東京都内初出店となる「串焼き。ビストロガブリ」は串焼きをはじめ、トリュフソースをかけたトリュフ大根やオマール海老をソースとしたはんぺんなどのフレンチおでんが主力らしい。

新宿エリア初出店の「アガリコ餃子楼」は米ニューヨーク州のチャイナタウンにある中華料理店をイメージした居酒屋で、餃子や点心を中心にした小皿料理などを用意している。「一歩」は鉄板居酒屋で、定番の「お好み焼き(豚玉)」もおいしいらしい。

新規開店のもう1店はカフェ&バー「Lad’s Dining」。ランチメニューではパスタやピザ、ディナーはパエリヤやローストビーフも。多彩なメニューが楽しみだ。

横丁タイプの店は狭く汚いイメージがあるが、ハルチカは何と言ってもデパ地下。広々としたスペースで、トイレも綺麗と女性からも人気があるようだ。

 

巻き寿司も

 

■見つけた意外な店

 

ハルチカに降りるところに看板が立っている。そこでどの店に行くかを決めればいい。下に行って決めようとしてもなかなか決まらない。決めた店に直行するほうが合理的だ。迷わずに済む。

この日は久しぶりにお酒を飲むことにして改装なった海鮮居酒屋「御さしみ家」にした。刺身五種盛や豪華八種盛をはじめ、筋子おろしの珍味やえいひれなどの焼き物を提供している。アルコールは日本酒をメインに全国各地の銘酒が揃っている。灘の生一本「菊正宗」を頼んだ。

旭鮨総本店(東京都世田谷区赤堤)は創業昭和2年(1927年)。京王線「下高井戸駅」西口徒歩1分に本店を構えており、「下高井戸」がどうやら拠点のようだ。新宿京王百貨店8F店、吉祥寺東急百貨店9F店、小田急百貨店町田店9階店など都内近郊に20店舗を有する。江戸前鮨のほか、ふぐ料理、天ぷら、日本料理と手広い経営を行っている。

会社案内によると、御さしみ家新宿西口ハルク店は鮨たか恵比寿店、天喜代藤沢店、同クアラルンプール店、御さしみ家ぼたん本厚木ミロード店など旭鮨グループに属している。本店直系店とは違うようだ。

 

サバの文化干し

 

■昔を思い出させた「サバの文化干し」

 

正直横丁タイプの店だし、料理も多分ぞんざいなものが出てくるだろうなと思っていたら違った。盛り付けなども綺麗だし、量はそんなに多くはないが、しっかりと食欲をそそる感じだ。地下食堂街を馬鹿にしてはいけない。

「サバの文化干し」を見つけた。焼き魚は好きで、小さい時からよく食べていた。山間部の生まれで、海からは遠く離れている。大体が行商のおばさんがリアカーに乗せて売りに来る。それを買うのだから、刺身など活きの良いのは無理で、干物が普通だった。

サバの干物をよく買っていたように思う。同時に文化干しという言葉も覚えている。久しぶりに懐かしい言葉を聞いた感じだ。相方は67歳。大阪生まれだが、彼もサバの文化干しは知っていた。

「学校給食真相・・・」サイトによると、干物の種類は大きく分けて3種類あるらしい。魚の下処理の違いによって3つに分けられる。内臓を取らずに生干しした丸干しと、内臓を取り開いて干した開き干し、内臓を取り切り身にして干した切り干しの3種類。

いずれにしても干さなければ干物にならないが、文化干しは透水性のあるセロファンなどに包み、吸湿剤の中で乾燥させたもの。セロファンの孔径により、臭みの原因となる成分は透過し、アミノ酸などの旨味成分は透過せずに魚に残る。空気や太陽光に触れないので、成分や外観の変質が起きにくいのも文化干しの特徴らしい。

それにしてもなぜ「文化干し」という名が付いたのか。それが気になった。同上サイトによると、1950年創業の水産加工会社が魚の干物をセロファンで巻いて販売したところ、その梱包があまりにも画期的で見た目も美しかった。

それが「これは最先端で文化的だ!」と話題になり、「文化干し」と表現されるようになったのが始まりという。何でもかんでも「文化的」なものはあるようだが、文化的なサバもあるとは恐れ入った。そんなことを話しながら食べた。

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