【試写会】在日外国人差別の本質に迫る高賛侑監督の最新ドキュメンタリー映画「ワタシタチハニンゲンダ!」

 

「ワタシタチハニンゲンダ!」のチラシ

 

作品名:「ワタシタチハニンゲンダ!」
監督:高賛侑(コウチャニュウ=ノンフィクション作家)
8月10日試写会@日本記者クラブ

 

■見ていて「不快な」映画

 

高賛侑監督(75)は1947年生まれの在日コリアン2世。朝鮮大学校を卒業し、朝鮮関係情報誌『ミレ(未来)』編集長を経てノンフィクション作家。自由ジャーナリストクラブ理事を務めている。

高氏は朝鮮学校の歴史と現状を描く初の長編ドキュメンタリー「アイたちの学校」を2019年に制作し、部落解放文学賞、日本映画復興奨励賞などを受賞している。

新作品は朝鮮人だけでなく、新たに韓国・朝鮮人、技能実習生、難民、入管収容者など在日外国人への差別問題をテーマにした。戦後からの差別の歴史をひもとくとともに、当事者、支援者へのインタビュー、入管の監視カメラの映像などから実態に迫った。

日本人からすればこれでもか、これでもかと在日外国人への差別が延々と続く。見ていて不愉快だし、気分が悪くなる。日本の入管制度などに不満を述べる外国人たちの姿が切り取られている。

差別を受けた在日外国人たちは言う。「私たちは動物ではない。みんな人間なんです」

 

■日本だけが法律や制度で差別

 

高監督は朝日新聞とのインタビューで、「終戦後、日本社会には在日コリアンに対する根深い差別意識が充満していました。中国の朝鮮族やアメリカの在米コリアンを取材しましたが、国の法律や制度によって公的に差別があるのは日本だけでした」と語っている。

特に高校無償化制度から朝鮮学校を排除した問題について、「民族教育を奪うことは民族そのものを抹殺するということ。こういうことが平然と行われている」と指摘した。

英国に駐在していたとき、子どもたちを現地校に入れたが、学校側の扱いはどの国の生徒でも平等だった。土曜日だけは日本人学校の補習校に通わせ日本民族の教育を受けさせたが、特に差別は感じなかった。ところが日本では在日外国人に対して厳然と差別を行っている。インターナショナルスクールの高校を卒業しても大検を受けないと大学受験資格を得られない場合もあるという。

国連の社会権規約委員会は「高校無償化プログラムから朝鮮学校が排除されていることを懸念する。これは差別である」と日本政府を批判した。

 

■それを許しているのは日本市民

 

今年3月には名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡し、入管行政への批判が高まった。

高氏は毎日新聞に記事の中で、「外国人問題に関心がない人たちにも映像を見てもらい、歴史や差別の実態を知ってほしい」と言っている。

また高監督は日本記者クラブの試写会後、質問に応じた。特に入管当局による被収容者に対する非人道的な処遇が常態化していると指摘。「どの国にも外国人への差別があるが、日本の場合、それを作り上げているのは国家だ。国際的感覚から外れており、それを許しているのは市民だ」と糾弾した。

 

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