【芽吹き】「豆まき」よりも「恵方巻き」が優勢になる時代に武蔵野音大ベートーヴェンホールでワセオケの演奏に耳を傾け、芽吹き始めたバイモユリの生育を待つ日々
■ワセオケ新春演奏会
ここ数年、新年には練馬稲門会が主催する早稲田大学交響楽団の演奏会に出掛けている。今年も1月13日(土)午後3時から、「設立45周年記念FINAL」と題して2時間半ほど開かれた。クラシックにはクラシックなりの豊かな音楽の楽しみがある。
これまでは練馬駅北口にある練馬区立練馬文化センター(練馬区1)大ホール(こぶしホール)で行われていたが、同センターが改修工事のため去年、今年の会場は武蔵野音楽大学ベートーヴェンホールを借りて開催された。
「ワセオケ」の愛称で親しまれる早稲田大学公認オーケストラ。学内のオーケストラでは唯一、同大学の学部生のみで構成され、団員数は約250人に上る。2013年には楽団創立100周年を迎え、全5回にわたって記念公演演奏会を行った
大学関係者の主催する音楽会がなぜいいのかは名門コンサートに比べると安い値段で、それもトップレベルにかなり近い音楽が聴けること。指揮者・曽我大介氏による曲ごとの庶民的で魅力的なおしゃべり調解説も聞いていて楽しい。
ちなみに曽我大介氏は桐朋学園大卒、ルーマニア音大、ウィーン音大などに学び、ブザンソン、コンドラシンの2大指揮者コンクールで優勝を収めた.数多くのコンクールで上位入賞。
以降、日本やヨーロッパ、南米を中心に世界各地に客演している。早稲田OBでないにもかかわらず、主催者団体(練馬稲門会)の要望を知ってか、最後は早稲田校歌の演奏で終わった。すばらしい配慮だ。
最近ではホームカミングデーでも校歌を口すさびながら目頭が熱くなったことを覚えているが、不覚にも今回も同じ現象に陥った。老いると昔のことが懐かしく思われ、どうもいけない。
■石丸由佳氏のオルガン演奏も
今年は武蔵野音大のベートーヴェンホールに備え付けられている日本初のコンサートオルガンがオルガニスト、石丸由佳氏によって奏でられた。もちろん曽我大介氏による解説付きである。
さらにはソプラノ歌手、高橋維氏による独奏も去年に続いて披露された。2時間半にわたってハープ、オルガン、歌など様々な音楽が織りなすハーモニーを楽しんだ。
音楽と縁の乏しい生活をしてきた人間にとって音大は高嶺の花。桐朋学園大学、武蔵野音大、東京音大以外にも昭和音大、東邦音大、国立音大、洗足学園音大などもある。
どの音大が優れているのか分からないが、武蔵野音大の江古田キャンパスは西武池袋線江古田駅から5分程度の閑静な住宅街に立地している。埼玉県入間市にも入間キャンパスがある。
1929年創立、1949年大学設置。創設者は福井直秋。私立音楽大学としては歴史も古く、1949年に日本で初めて音楽大学としての認可を受けた大学である。
■バイモはまだ芽の状態
新春コンサートを聴いてから時間はあっという間に過ぎ去り、2月に入った。天気が良い場合、「ガーデンコーヒー」と称して新聞と10時のおやつを片手に猫の額ほどの庭でひなたぼっこをするのが習慣になった。
早いと言ってもまだ2月である。たとえ天気が良くても風邪がそよっと吹いてそこそこ寒い。空気が冷たいのだ。それが結構身体に応える。それでも日なたにいるとほんのり暖かいのが嬉しい。
庭には梅や日本水仙、ノースポールなど咲いている花も幾つかあるが、これから咲くために地面から芽を出している植物のほうが多い。ただ芽は出たものの、まだ何が出てくるのか分からない。
地面の中にはいろんなものが植わっている。芽が花になって実際に咲けばなんだか分かるが、芽の段階では分からないのだ。自分で言うのも何だが、土壌管理がまるでできていない。
いまは芽吹き状態である。その中で一番生育の早いのはバイモ(貝母)ユリだろう。バイモは江戸時代に中国から鎮咳、止血、解熱などの薬用植物として渡来したが、野生化し各地に広がった。
地味目な花ではあるものの、淡い緑色の清楚に咲く姿は趣があり、茶花などに愛用されている。知人の家の庭に植わっていたのをもらってきた。背が意外と高く40~60㎝にはなる。
稲穂のようにすっくと立ち、秋のコスモスに似た立ち姿には潔さを感じるのは私一人ではないだろう。
■3年ぶりに咲いた日本水仙
芽は出るものの、ここ3年間ほどは花が咲かなかった日本水仙。今年は肥料を少しまいたら発芽し花も咲いた。本当に肥料が効いたのかよく分からない。いずれにしても何とか咲いたのは嬉しい。
実はも一カ所水仙を植えている。こちらは今年も咲かない。ずっと咲かない。今年は液肥を与えてみた。こちらも祈っているが、もう神頼みである。
■色物があまりないので玄関に真っ赤なベゴニアを鉢植えで
過湿状態を嫌うのがベゴニア。表土がしっかりと乾いているのを確認してから水を与える必要がある。乾くとだめになる植物がいる一方で、ベゴニアのように乾くのが嫌いな植物もある。
ベゴニアは品種改良された種類も多く、1万5000種類以上あると言われる。茎が真っ直ぐ伸びる木立性ベゴニア、冬になると地上部が枯れて球根で冬を越す球根ベコニア、茎が太く地面を這うように成長する根茎性ベゴニアなどが典型的だ。
最近はとにかく新種が増えている。交配した園芸品種だ。遺伝子組み換えも多い。新種はみんな横文字である。覚えられない。残念だが古い花は忘れ去られる。新種に駆逐される。古くて残っているのはバラくらいだ。変な世の中である。
■サービスの原点は切り抜きサービス
2月になってちょっと昔、関係のあった会社から新春懇親会のお誘いがあった。会社を辞めてからはそういった関係はほとんどなくなっていただけに嬉しい。いそいそと出掛けた。
ワールドピーアールは先代の社長が創業したが、その社長も世を去った。別の会社に勤めていた息子が後を継ぎ昨年50周年記念を行った。彼が引き継いでから今年で12年目になる。
同社は企業とメディアをつなぐPRコンサルティングを行っている。メデイアと政府、官公庁、オピニオンリーダーなどの各界に広範囲な情報網を有し、そのコネクションと情報分析力はクライアントからそれなりの評価を得ているという。
びっくりしたのは原点の新聞切り抜きサービス。創業時から提供しているサービスで、関連新聞の全記事を網羅し、午前7時半には提供できる体制を整えている。実際にサービスを受けている大企業の広報マンからその話を聞いた。
今や新聞を読まなくなった時代だと思われているが、読んでいる人は読んでいるのである。それも主要紙だけではなくありとあらゆる新聞をPDFでまとめたうえで読めるようにしてあるというからすごい。
新聞は難解な事象や専門的な事項を門外漢の人にも分かるように、はっきり言って中学生でも理解できるよに書かれているのが特徴だ。これを何十年も読んでいれば世界も理解できるようになるというものだ。アナログもまだ活躍しているのを知って嬉しい。
■節分と言えば豆まきだったが・・・
七草がゆや節分の日などはずっと昔のイベントだが、それなりに今も七草がゆを口にしたり、節分の日には福豆を食べている。わが家は冬至にも冬至かぼちゃを食べる習わしを現在も続けている。
節分は2月3日。節分には「豆まき」をする風習がまだ家庭に残っており、「鬼は外、福は内」と声を張り上げながら豆をまき、自分の歳の数だけ豆を食べている。
わが家もまだ子どもが小さいときには、豆まきをやっていた。豆には悪者の代名詞の鬼を退治する力があると信じられ「鬼は外」と追い払った。
よりよい年でありますようにと縁起を担いで年男や年女が豆をまき、健康でありますようにと、栄養たっぷりの豆を年の数だけ食べたものだ。
豆まきは節分のゆかしい習わしである。「まめで幸せに」なりたいものだ。買ってきた豆菓子の袋を見ると「出羽三山 羽黒山伏祈願」(でん六=本社山形県山形市)とある。
五穀豊穣などを願って江戸時代に始まったといわれる成田山新勝寺(千葉県)の豆まきには大相撲の大関・豊昇龍や小結・高安のほか、NHKドラマ「光る君へ」で主人公の紫式部を演じる吉高由里子さんや藤原道長役の柄本佑さんなどが参加し、「福は内」だけを唱えながら豆まきをした。
■今や恵方巻が優勢に
まだ子どもが家にいて豆まきをやっていたのは遠い昔のこと。子どものいる家はどうやら最近では「豆まき」よりも「恵方巻き」を食べる人のほうが多くなっているようなのだ。
豆まきも恵方巻きもどちらも2月3日の節分の日に食べるものだが、豆を食べるより太巻きを食べる勢力のほう断然増えているようなのである。今年の方角は東北東。
自分で確認するのを忘れたが、同日最寄り駅のイマチカ(ショッピングセンター)に行った家人の報告によると、専門店街・魚力の売り場では恵方巻きを買い求める客でごった返していたという。
■スイーツ恵方巻も登場
こだわり具材が詰まった本格恵方巻は豪華海鮮太巻(税込1本2798円)、海の幸太巻(同1394円)、七福海鮮巻(同1718円)が飛ぶように売れていたという。
また古市庵ではボリューム満点で食べ応えのある節分うず潮巻(1本1544円)や節分開運太巻穴子(同788円)が販売され、Salaや咲菜、紀伊國屋も恵方巻(1本1998円)で売っていた。
面白いのはいつもと気分を変えた変わり種。とんかつ和幸(惣菜部門)がひれ、海老、味噌ひれの3種類の恵方巻を販売し、崎陽軒では「シウマイ恵方まん」(1本400円)を売り出していた。
さらにはゲン担ぎとして甘い「スイーツ恵方巻き」も売られていたとか。節分ロールやフルーツロールケーキも販売中だった。
それにしても諸物価高騰の折、恵方巻も1年前より1本当たり100~200円は高くなっているはず。それなのに「飛ぶように売れている」とはどういうことか。
生活に困っている人がたくさんいて格安スーパーを走り回っている一方で、高価なものを求める人も少なくない。路上では国産車よりも今やドイツ車を乗り回す人が目立つ。
犬や猫を飼っている人たちの数が増えているのにはびっくりする。どの犬も猫も結構高価である。犬猫の散歩をしている人は富裕層なのだろう。「生類憐れみの令」を思い出すばかりだ。