「播半」(はりはん)

 前日のシンポで聞いた神呪寺(かんのんじ)の秘仏ご開帳が年1回5月18日だと知って、とにかく出掛けた。阪急神戸線夙川駅で甲陽園線に乗り換え。2つ目の甲陽園(終点)で下車。西宮市のシンボル、甲山(かぶとやま)に至る甲山大師道を歩いていたら、この「播半」(はりはん)に出くわした。

 「播半」は老舗料理旅館で、旅館の中を六甲山系の渓谷が流れており、渓谷の両側に14の建築物が点在。昔は政財界人や文化人のほか皇族もたびたび宿泊した。谷崎潤一郎の『細雪』にも登場する。営業停止後、大型マンションが建設される予定で、景観保存を訴える地元住民との間で紛争が起こり、ニュースになっている。ニュースでは知っていたが、実物を見るのは初めて。

 目の前のバス停でバスを待っていた老人に話し掛けると、何と跡地対策検討委員を務めていた方だった。体がよく動かないため、活動できないことを嘆いておられた。マンション業者と地元住民との話し合いは打ち切られ、今にも着工されるとか。

 昔のものを保存・維持するのはコストも掛かり、大変なこと。英国のようなナショナル・トラストがあればよいのだが、それもない状態では、住民運動も限界がある。昨日は西宮や芦屋などの阪神南地域の文化度の高さに感心したが、ビジネスとの関係は難しい。

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