根付

 通勤で毎日利用しているのが東京メトロ中野坂上駅。丸の内線の改札を出た構内にいつも果物屋やら甘味屋、パン屋、ケーキ屋さんなどが出店しているが、今晩見掛けたのは根付屋さん。よく目を凝らすと干支を形とった彫り物や名前などを掘り込んだ小物がところ狭しと並べられていた。根付や「匠の会 ひねもす」。

 目に止まったのが干支のねずみ。2年前に旅行先の飛騨高山で買った一刀彫りのネズミを携帯ストラップにしていたが、いつの間にか、どこかで落とし、代わりをどうしようかと思っていた矢先のこと。「自分の身代わりになってくれたと思えばいいんですよ」と店主。迷うことなく、同じネズミを買った。素材はツゲだという。

 このような小物の彫り物を根付(ねつけ)と呼ぶことを初めて知った。広辞苑によれば、巾着、煙草入れ、印籠などを帯に挟んで腰に下げるとき、落ちないようにそのひもの端に付けるものを「根付」と言ったという。珊瑚や象牙などの材に人物、動物、器物などを彫刻し、精巧なものが多かったとか。芸術品である。

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