『キャピタリズム~マネーは踊る~』

 公開初日で3連休に当たっていたとは言うものの、この日3回目の上映が始まる15時30分の15分前に新宿武蔵野館に行ったら、何と大勢の人だかり。整理券を手渡され、最後の組で入場したら、ほとんど席が埋まっていた。マイケル・ムーア脚本・監督・製作。

 ドキュメンタリー映画にこれだけの観客が殺到するのはびっくりだ。「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」「シッコ」など次々と問題作・ヒット作を生み、2年ぶりの最新作のテーマは最も身近なお金の話。それだけに、老若男女を問わず、大きな関心を集めているのは不思議ではないのかもしれない。

 「奴隷のように働く99%の労働者と、その全員を合わせたより多い財産を持つ1%の大富豪たちが織りなす超格差社会」(ジャーナリストの堤未果氏)に陥っているのが現在のアメリカ社会。「400人のアメリカの最裕福層が底辺の1億5000万人を全部合わせた以上の財産を持っている」(マイケル・ムーア氏)という。

 「1980年代には米国の平均的な最高経営責任者(CEO)は従業員の平均賃金の45倍を得ていた。2003年には自社従業員の254倍を稼いだ。8年のブッシュ時代が過ぎて、今では従業員の平均給与の400倍を得ている」(ムーア氏)。

 「公的な会社ではこのようなことができる仕掛けは正気の沙汰ではない」と同氏は怒る。「英国では平均的なCEOは28倍、日本では17倍にすぎない」(同氏)から、とんでもない報酬だ。それが当たり前だというから、なおさらだ。

 問題は世界を震撼させ、低所得者層を奈落の底に引ずり降ろした張本人でありながら、政府から7000億ドルという気の遠くなりそうな救済資金をひねり出し、それでなお、自らに高額報酬をお手盛りで支払おうとした富裕層の強欲ぶりにマイケル・ムーアは果敢な戦いを挑んだ。
 

1 thoughts on “『キャピタリズム~マネーは踊る~』

  1. Anonymous says:

    SECRET: 0
    ぜひ観てください。買ったパンフレットには監督のインタビューも載っていました。映画は型破りですが、彼の言っていることは至極まともなことです。なんでも「限度」があるということだと思います。人間が生まれながら持っている”強欲”にも限度があって然るべきだということだと思います。残念ながら、人間は「行きすぎる」悪い面があります。これをどうコントロールするかのような気がします。難しいですが・・・

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