坪庭

 2月もあっという間にもう終盤。つい先日前は雪が降ったばかりなのに、きょうは久しぶりによく晴れて、しかもとても暖か。それに週末である。少なくても、仕事に出掛けなくてもいいのはこの上もなく嬉しい。外に出たら出たらで楽しいことやそうでないことなどもあるが、逆にどこにも出掛けないで家にじっとしていることの穏やかさも格別のものではある。

 若い頃は家にじっとしていることなど退屈極まりなかった。それが年齢を重ねてくると、そうでなくなってくるのが不思議である。歳を取るということはそういうものなのか。老境に入るにはまだまだ修行が足りないが、物事に対する感じ方が若い頃とはそれとなく変わってきたのは確かだ。

 あまりに暖かいので家人に誘われ、庭に椅子を出してコーヒーを飲みながら太陽の光を楽しんだ。庭ではチューリップが芽を吹き出し、その向こうではボケの花が咲いている。ボケは1月3日に丹波から戻ってきたときにはもう赤い花を咲かせていた。ひょっとしたら、年末から咲いていたのだろうか。一番先に春を告げるのは梅だと思っていたが、もしかしてボケのほうが先なのか。

 ボケを植えた覚えはない。鳥がどこからか種子を運んできて、我が家の庭に落としていった。それがいつのまにか根付いた。家人によれば、昨日はこの小さなボケにメジロが止まって花の蜜を吸っていたという。知人の庭からもらってきたヒメシャラも大きく育ち、時々野鳥がやってくる。

 地球温暖化の進行で、自然のリズムも狂い始めているという。冬が終わっても、いつまで経っても春が来ないというような時代がやってくるなど、決して思いたくない。

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