「東京の食を究める!」

 仕事を終え新宿駅の雑踏を歩いていたら西口のイベントコーナーが大変な人だかり。覗くと、「第4回東京発!物産・逸品見本市」だった。その名の通り、さまざまなイベントを数日ごとに開催している場所で、珍しいものをやっていると立ち寄っていたが、最近は取り立てて興味をそそるイベントはなく、ほとんど素通りしていた。

 この日のイベントは迫力があった。キャッチフレーズは「東京の食を究める!伝統の美味 あたらしい美味しさ」。出展しているのは東京の西エリアで高付加価値商品を販売している事業者や地産地消タイプの物産品を扱う事業者84社。惣菜などの食料品が最多で、和菓子や洋菓子が続く。西多摩名物、東村山名産、世田谷みやげ、吉祥寺銘菓、杉並逸品が並んでいた。

 沖縄物産展や北海道フェアなど地方の物産展は至るところで開催されているが、意外とないのが東京の物産展。地元・東京にも名物・名産・逸品があるが、それを一堂に会して賞味する機会は存外少ない。むしろ、ほとんどない。

 そうだからこそ、「まだまだ知られていない東京の逸品」や「あなたの知らない東京の物産」の紹介に触手が動くのかもしれない。年1回5月開催で、今年が4回目。仕掛け人は西武信用金庫と東京都商工会連合会だった。うまく仕掛ければ、人は集まってくる。皆、鵜の目鷹の目で面白いこと、楽しそうなことを探しているのだから。

 こういうイベント会場に来ると、途端に思考が停止、論理的にモノが考えられなくなる。どれもこれも買いたくなるのだ。今ここで買わないと損なような気がするのだ。集団ヒステリー症とも呼べそうな不思議な感情に襲われるのである。イベント主催者の狙いもそれである。

 またそうした雰囲気に一応乗ってみるのも楽しい。乗ってみたつもりで、乗せられているのかもしれない。騙し、騙されの関係だ。騙されたつもりで買ってみる。騙されないよう、いつもハリネズミのように神経と警戒心を研ぎ澄ましていれば、良いものも引っ掛からない。こんなものは出会いみたいなものである。

 こんな言い訳をしながら、3点買った。いい買い物だったかどうか分からない。楽しみというか、遊びである。①東京たくあん(山義食品工業=練馬区西大泉)②深蒸し焼そば(比留間製麺=武蔵村山市)③梅の甘露煮あおうめ(にしむら=青梅市大柳町)。

 

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