『弧剣』

書名:孤剣 用心棒日月抄
著者:藤沢周平
初刊:昭和55年(1980)7月、新潮社

 用心棒シリーズ第2作(全4作)。4月にシリーズ第1作『用心棒日月抄』を再読したら、続いて2作目ももう一度読みたくなってしまった。GW中も丹波の田舎で少しずつ読み、東京に戻ってからはもっぱら、就寝時にベッドに横たわりながら、睡眠導入剤的に読み続けてきた。

 第1作は国元の政争に巻き込まれ脱藩を余儀なくされた青江又八郎が江戸で用心棒稼業で糊口をしのぎ、国元の騒ぎが一段落したのをしおにめでたく帰藩するところで終わったが、続編『孤剣』では、その又三郎が藩の存亡にかかわる連判状を求めて再び脱藩。またしても用心棒で稼ぐ羽目に陥る設定だ。

 用心棒仲間に新たにやせ浪人・米坂八内が加わり、用心棒稼業の辛さ・切なさに磨きが掛かったほか、全編にわたって濃厚かつ繊細に着色・潤色された女忍者・佐知との交情・色情を悩ましく感じるほどである。しかも、それでいて文章の品は崩れないのは流石である。

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