猛暑・酷暑・炎暑・蒸暑・暑夏・炎夏

 4時に目覚ましを掛けたのに、スースーと眠ってしまった。そんなに涼しいはずがないのに”快眠”できたのは、止めたはずのクーラーのスイッチをいつの間にか、無意識のうちに再び入れていたためらしい。自然の眠りでないことが気になった。

 5時に一度時計を確認したときには家のそばでミンミンセミが激しく鳴いていた。7時すぎに起床。その後、鳴き声が聞こえなくなった。そろそろ9時。あまり暑いとセミも鳴く気力を失うのかと思ったら、また聞こえ始めた。セミは鳴くのが仕事だといえ、今年の暑さをどう考えているのだろうか。

 多治見と熊谷で40.9度を記録した2007年の夏も暑かったが、2010年の夏も確実に記憶される暑い夏になるだろう。24時間、クーラーを付けっぱなしにした記憶はないと家人は言う。夜は寝室のクーラーをかけ、朝起きるとリビングのクーラーをかける。要は1日中、クーラーのかけっぱなし。

 日本列島の猛暑が止まらない。今年のピークはこれまでのところ8月17日。東京都練馬区と三重県桑名市で最高気温38.2度を観測した。東京都心でも3年ぶりに37度を超え、3日連続の猛暑日(最高気温35度以上)を記録した。全国的には921観測地点のうち142点で猛暑日。30度以上の真夏日を含めると、9割近い地点が猛暑にうだった。

 猛暑日は翌18日も続き、猛暑日は4日連続。観測史上1位タイだった。今年に入ってからの猛暑日は8日目で、これは2001年以来9年ぶり。18日の最高気温は岐阜県多治見市の38.8度。これが今年これまでの最高気温だ。やはり、こうした記録は記憶しておく必要がある。

 猛暑に見舞われているのは日本だけではない。ロシアやウクライナ、カザフスタンなど欧州東部からロシア西部にかけても猛暑が続いている。米国の西海岸や東部などでも記録的な暑さだとされるほか、パキスタンやエジプトなどの中近東も酷暑のようだ。

 北半球は猛暑だが、南半球は逆に寒波に襲われている。元々冬だから寒いが、今年の冬はそんなレベルを超えているらしい。7月22日の共同電によれば、ペルーやアルゼンチンなど南米8カ国で220人以上が寒さのため死亡。ボリビアでは過去に降雪記録のない地域で雪が降り、ブラジルでも多くの家畜が凍死したという。

 猛暑・寒波以外に各地を襲っているのが集中豪雨。初夏の日本も九州・中国地方で激しい豪雨に見舞われた。「こんなに激しい雨は生まれて初めて」とテレビカメラに話す住民の声が印象に残っている。中国やパキスタンの豪雨もすさまじい。

 中国内陸部甘粛甘南チベット族自治州舟曲県で8月8日には大規模な土石流が発生、国営新華社によると、死者・行方不明者は1700人以上に達した。世界最大の山峡ダムには過去最多の水量が流れ込み、長江では1987年以来最大規模の洪水被害が出ている。

 7月に発生したパキスタン北西部の洪水被害も甚大だ。10年近い戦闘の続いているアフガニスタンに隣接する地域を襲った同国建国以来最大といわれる洪水で住家や田畑が水没し、100万人以上が難民化。現地は米軍と激しい戦闘を行っているイスラム過激派組織タリバンの拠点だ。

 タリバンの支援組織アルカイダ幹部はパキスタンの拠点からアフガンのタリバンに戦闘指示を出しているとみられ、タリバン潰しに血眼の米軍はパキスタン住民を米国の味方に取り込むことが最重要として、タリバン掃討作戦を一時中断し、今やパキスタン被災者の救出・救難作戦に全力を注いでいる。

 猛暑・寒波、集中豪雨など、異常気象が世界を襲うのはなぜか。最近、その理由として指摘されているのが「偏西風の蛇行」と南米沖海水温が上昇する「エルニーニョ現象」の相乗効果。要は地球が変調をきたしているわけだ。工業化の進展で長年にわたって身体をこれだけ痛めつけられれば、おかしくもなるというものだ。

 このブログでも、タイミングを見つけて今年の夏の猛暑を書いておく必要があるなと考えていたら、今朝の日経新聞が9面で「世界の異常気象なぜ」を掲載していたので、その気になった。同記事によると、「今年の猛暑の最大の原因として専門家が口をそろえるのは『偏西風』という上空の気流が南北に蛇行していることだ」。

 「日本など北半球中緯度地帯の上空5~12キロには、地上付近の風向きにかかわらず、西から東へと地球を一周する偏西風という大規模な風が吹いている。偏西風が蛇行すると、流れが北極側に向う部分の南側で、大気下層から上層にまで達する『背の高い高気圧』が発達し、猛暑になりやすい。日本や欧州東部からロシア西部にかけての地域が猛暑に見舞われたのは、主にこのためだ。偏西風の大規模な蛇行の理由はよく分かっていない」

 「さらに、南米ペルー・エクアドル沖の海面水温が平年より上がる『エルニーニョ現象』も、今年の猛暑にゲタを履かせる効果があったという。エルニーニョが起こると、少し遅れる形でインド洋などの海面水温が上昇して、これが気温の上昇をもたらすことがあるからだ。エルニーニョは昨年6月に発生し、今春に終息した」。今夏の猛暑はこの影響が上乗せされた形のようだ。

 7月ごろから始まった偏西風の蛇行はまだ終わっていない。エルニーニョ現象は今春終息したものの、今度はそれと反対の「ラニーニャ現象」が始まっている。南米沖の海面水温が平年より低くなる現象だ。気象庁は10日、「ラニーニャ現象が発生しており、冬まで持続する可能性が高い」と発表している。

 ラニーニャが発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、積乱雲の活動が活発化。これが太平洋高気圧の活動を強め、夏は日本付近が猛暑に見舞われやすくなるという。エルニーニョの後遺症とラニーニャのダブルパンチが偏西風蛇行に加わるので、「9月の残暑は厳しい」との見通しになる。

 ラニーニャ現象は冬の場合、西高東低の気圧配置が強まり、気温は低くなる傾向があるという。ラニーニャは1年以上続くとみられるから、今年の日本の冬は、南米の今年の夏のように、例年より寒くなるのだろうか。とにかく、あんまり暑いのもあんまり寒いのも勘弁してもらいたい。普通が一番だ。

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