『十三人の刺客』

作品名:『十三人の刺客』(2010年)
監督:三池崇史(みいけ・たかし)
主役:役所広司(島田新左衛門)

 上映時間(2時間21分)のうちラスト50分は殺陣。すさまじい時代劇だ。時代は江戸時代末期の弘化年間(1844-47)。将軍の腹違いの弟で、暴政の限りを尽くす明石藩主・松平斉韶(なりつぐ=稲垣吾郎)を、老中の命を受けた幕府御目付役・島田新左衛門(役所広司)ら13人の刺客が討つ。しかも相手は300人超だ。

 壮絶な死闘だ。生首が2つも飛ぶ。忠義のため藩主を守る同藩御用人で、新左衛門と学も剣も同門の鬼頭半兵衛(市村正親)と斉韶本人の首だ。これほどリアリティーのある、しかも延々と続くチャンバラ映画は観たことがない。

 1963年に監督・工藤栄一、脚本・池宮彰一郎で製作された映画『十三人の刺客』(新左衛門役は片岡千恵蔵)をオリジナルに三池監督が大胆にアレンジしたという。両方を観た知人は「三池作品はハリウッド映画みたいな作りになっている。エンターテイメントではあるが、個人的には工藤作品のほうが良かった」と指摘する。前作を観ていないので分からないが、単なるリメイクではなさそうだ。

 あと20年ちょっとすれば、明治である。1836年生まれの坂本龍馬は10歳ほどになっていた。そんな時代に武士として生きなければならない男たちの生きざまを描いた作品との見方もできるかもしれない。

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